毒親とは、あらゆる手段で子どもの人生を支配し、悪影響を与える親のことだ。毒親は子どもの心と人生を破壊することも少なくない。貧困や生きづらさなどに苦しむ人は、「毒親育ち」であることも多いのだ。

 ここでは、「毒親育ち」の女性の告白を綴ったノンフィクションライター・中村淳彦氏の著書『私、毒親に育てられました』(宝島社新書)より一部を抜粋。幼少期から、実父や教師による性的虐待を受け続けてきた美智子さん(仮名、61歳)。彼女が少女時代に過ごした地獄の日々とは――。(全2回の2回目/1回目から続く)

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不登校になると家にやってくる教師

 少女に降り注ぐ悲劇は、これだけでは終わらなかった。

 美智子さんは図書室で鈴木教師に強姦され、さらに追い討ちをかけて保健室で女性教員に恫喝されたことが大きなダメージとなった。精神的に追い詰められて登校拒否となったのだ。悪夢を思い出して眠れなくなり、頑張っても週一度くらいしか学校に行けなくなった。

「いろいろショックで怖くなって、家に閉じこもっていた。でも、新学期がはじまってすぐの4月、鈴木先生がうちに来た。学校が終わったばかりの15時くらい、玄関を開けたら鈴木先生がいた。家には誰もいなかった。先生に『久しぶり。学校にどうして来ないの?』って言われた。

 怖くてなにも言えなくて、先生は笑顔で近づいてきた。『またしよう、大好きなんだ』って抱きつかれました。玄関で脱がされて、先生も下半身裸になって正面からやられました。最中は先生が怖い表情で腰を動かして、叫びたくても口を押さえられているので叫べない。すごく痛くて、怖くて、硬直してされるがままだったことを覚えています」

 鈴木教師は性交が終わると、慌ててズボンを穿いて逃げるように帰った。美智子さんは裸のままで放置され、しばらくして服を着た。体の震えは止まらず、涙も止まらなかった。

 美智子さんには、どうして男の人が自分の体を触って、興奮するのかわからなかった。保健の授業で男女のその行為は、子どもができるかもしれないこと、いけないことであるのは教わっている。下半身裸の鈴木教師を思い出すと、恐怖心といけないことをしている罪悪感で、胸が痛くなる。体中に嫌な気持ちが渦巻いている。