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東京女子医科大学性差医療部の調査では、更年期のような症状を訴えて女性専門外来を受診した人のうち27%にあたる人に、臓器に関わる疾患を表す器質的疾患が見つかりました。つまり不定愁訴だと思っていた女性の“4人に1人”に更年期症候群とは別の病気が見つかったということ。その多くが甲状腺機能低下症・亢進症などの内分泌疾患でした。甲状腺などの内分泌疾患は採血検査でわかりますが、一般の検査項目には含まれておらず、見つかりにくいのです。中には悪性リンパ腫やがんなどの重大な疾患も判明しました。

乳がん・骨粗しょう症…女性だけでなく男性にもリスク

ここまで女性側の病気を中心に解説してきましたが、性差医療は男性・女性の両面を捉えることが重要になります。例えば、女性の病気というイメージのある乳がんや骨粗しょう症は男性にも起こりますし、女性に多い甲状腺疾患は男性が罹患(りかん)したときには見つかりにくい可能性も。

また、性差に加えて「ライフステージ」の考慮も必須となります。女性は50歳前後に閉経を迎え、これまで受けていた女性ホルモンの恩恵が減っていきます。そのため閉経前の女性と閉経後の女性の健康対策は、分けて考えなくてはいけません。

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このように年代別、ライフステージ別の視点を含めた性差医療が必要とされる中で、医療現場の課題となっているのがヒューマンリソースです。重大な疾患なのか更年期症状なのかを一般診療の短い時間で見分けるのは、性差医療を学んできた医師でも困難を極めます。

そのため現在、診療データをデータベース化して患者さんや医師に役立つ、性差医療アプリの開発やその実用化に取り組んでいます。日本性差医学・医療学会では、全国すべての職種の医療者が性差医学を学べ、さらにその認定資格を取れるような取り組みを進めています。日本で性差医療の概念が紹介されてから25年になりますが、どの診療科でも性差とライフステージを考慮する性差医学・医療は、一人ひとりに最適な医療を提供するための最初の一歩なのです。