名古屋まで電車で20分という柳ヶ瀬には大都市からの観客流入が見込める反面、地元客を奪われる危惧も伴う。実際、岐阜タカシマヤが24年7月に閉店するなど、寂しい報せは多い。95年に4スクリーン体制で開業したCINEXが、20年に290席のCINEX1を閉鎖したことから察するに、映画館にとって苦しい商環境であるのは間違いない。
“岐阜初のシネコン”の変わりゆく客層
「“岐阜初のシネコン”という話題性もあってか、開館当時は殺到したお客様を捌ききれず、非常階段に並んでもらったことも…。フィルムからデジタルに移行した10年前後からアート系の上映作品が増えましたが、やはり客層は変わりましたね。とはいえ決して悪いことばかりではなく、『今までは名古屋まで出かけてたけど、CINEXで上映するまで待つよ』と熱心な常連さんが応援してくれる。ありがたいことです」
苦肉の策が生んだうれしい誤算
この道40年の総支配人・大野信浩さんが頭を下げる。同じ柳ヶ瀬に77年に開館したロイヤル劇場という系列館があるが、こちらもシネフィルに支えられている名画座だ。