〈とにかく党に戻りたい。「除名」処分を受けても、「そんな党だから愛想をつかす」という気にはとてもなれないんです。私はいまも共産党に希望をもっています〉
こう語るのは、共産党本部の政策委員会メンバーとして安全保障や外交の責任者も務めた、党歴48年の松竹伸幸氏(68)だ。
松竹氏本人も驚くほどの処分
2006年に党本部を退職していた彼が一躍注目を集めたのは、2023年1月のこと。『シン・日本共産党宣言』(文春新書)を刊行し、共産党も自民党や立憲民主党などと同様に、党首を全党員による投票で選ぶ「党首選挙制」を導入するよう訴え、「ヒラ党員」として自らも立候補すると宣言したからだ。
ところが本書刊行後の2023年2月5日、松竹氏が所属する共産党京都南地区委員会が「除名」処分を決定し、翌日に京都府委員会が承認した。
「警告」「権利停止」「機関からの罷免」「除名」と、党規約にある4つの処分のなかで、「除名」は最も重い処分である。
「ある程度の覚悟はしていましたが、やはり除名は衝撃的でした。48年間の共産党員としての私の人生は何だったんだ」と、松竹氏本人も驚くほどの処分だった。
再審査請求が議論されるかどうかさえ不明
1月15日から始まる党大会を控えるなかで松竹氏は、「共産党に最も批判的な論客の一人です」と自認しつつ、「でも、どこかの党首のように、『共産党はなくなったらいい』とは絶対に思いません」と語る作家の佐藤優氏と対談した。この対談で松竹氏は、不安な胸中を語っている。
〈佐藤 松竹さんは、この1月に4年ぶりに開催される党大会での除名処分の撤回を求め、再審査請求をなさっていますね。
松竹 再審査規定は規約に存在していますが、過去には一度も例がない。実際に党大会で議題にかけられるのかさえ分からない状況です。
ただ、党大会を控え、知らない党員からも連絡が来ます。「党大会で松竹さんが復党しなかったら、離党するということを表明して代議員に立候補した」という方もいました〉