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 高額帯中心のマーケットは金融マーケットの動きに敏感だ。投資環境はリーマンショックのときのように一夜にして激変したりする。そうした意味では宴がどこで終わるか、まじめに投資を行っている投資家ほど動きは速いもの。そして何も考えずに「みんながやるから」というシンプルな動機と欲望だけで投資している素人が底なし沼にはまる機会が今年やってくるかもしれない。

富裕層が目立つインバウンド

 商業施設マーケットは富裕層向けの高額品、インバウンド需要に的を絞った施設を中心に活況となりそうだ。三越伊勢丹など大都市部の百貨店は近時の不振が嘘のような急回復だ。国内富裕層が急増していることに加え、インバウンドも最近は目立って富裕層が増え、日本人よりもカネをもった客が宝飾品、高級時計などを買い求めるからだ。

 また物価の高騰はスーパーの売上高を伸ばす効果がある。値下げ一辺倒だった食料品などの価格も相次ぐ値上げで売り上げ増になっている。ただ一般庶民の財布は社会保障料の引き上げや増税に対する警戒感から節約志向が今後加速することが予想される。コモディティを扱う商業施設は人件費や施設費の高騰を吸収できるかが問われており、今年のマーケットは予断を許さない。

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相続登記の義務化で何が変わるのか

 最後に不動産を持つすべての日本人にとって、今年はかなりやっかいな年であることに触れておく。今年4月1日より、相続によって取得した不動産について登記が義務付けられる。親などから相続した土地や建物については、これまでは登記はあくまでも任意だった。登記自体は所有権を主張する第三者の主張を退けるための対抗要件にすぎず、登録免許税を課せられることから、登記を積極的に行う事例は多くなかったのだ。また登記にあたっては同じ不動産を所有する者全員でおこなわなければならなかったことも登記が進まない原因とされる(今回の改正では一人での登記も可能になった)。

写真はイメージ ©AFLO

 だが4月以降は登記をしていないでいると過料10万円を請求される。また対象は4月以降の相続ではなく、これまで相続した不動産のすべてが対象になるという。登記をしていたとしても住所変更を行っていなければ5万円の過料だ。どうだろうか。親がなくなったときに自分が行ったこともない山林を親戚と一緒に相続。地方の実家を兄弟で相続してそのまま放置。全部対象になる。豊臣秀吉の時代、石田三成が行った「太閤検地」を彷彿とさせる「令和検地」が始まるのだ。

 さて昇竜を期待するいっぽうで不安をもたげ始めた今年の不動産マーケット。心配は杞憂に終わり、宴が続くことを願いつつも、リスクへの備えもお忘れなきように。