最近は都市部の主要な鉄道の駅前などで市街地再開発事業などの手法を使った複合開発が活発に行われている。再開発にあたって建設される建物の用途は1つの用途ではなく、オフィスとマンション、あるいは商業施設やホテル、公共施設なども併設された複合型の用途のものが多くなっている。

写真はイメージ ©AFLO

低層部には商業施設や公共施設

 よくあるタイプが、低層部に商業施設や公共施設、中層部にオフィス、そして高層部にマンションやホテルなどを設けるものだ。市街地再開発事業では、既存の土地オーナーが駅前商店街などの店舗オーナーが多いので、彼らの権利分(土地建物の不動産価値)に相当する床を低層部などにあらかじめ確保して、そのまま商売を続けられる、あるいは貸店舗として運用できるようにしている。そして容積割り増し部分(保留床部分)をデベロッパーやゼネコンなどが買い受けて、中層部や高層部にオフィスやマンションなどを構えるものだ。

 オフィスにするかマンションにするか、はたまた両方の用途を実現するかは建物の規模、保留床を引き受けるデベロッパーやゼネコンの方針による。そのまま保有して賃貸オフィスや賃貸マンションにするケースもあるし、マンションとしてすべてを分譲してしまう場合もあるが、どちらにしても保留床を買う彼らの判断によるところが大きいのだ。

ADVERTISEMENT

 通常は賃貸マンションでは運用と管理に手間暇がかかるので、保留床を買う彼らの多くは分譲マンションとして売却することが多い。

どのくらいの不動産価値が見込まれるか

 市街地再開発事業は土地の高度利用を目的としているため、その多くは超高層の建物が建設される。これをマンションとすれば、タワマンとして周辺相場よりも高く売れることも分譲マンションとする動機になっているのだ。最近ではこうした市街地再開発事業の結果、JRの駅前、私鉄のターミナル駅前などにタワマンが林立し、高額で分譲されるようになっている。

 さてこうして分譲されるマンションは人気があり、分譲価格は周辺相場よりもかなり高くてもよく売れているという。ではこのマンションに、果たしてどのくらいの不動産価値が見込まれるかを考えてみたい。

 まず立地は申し分ないといえるものが多い。多くの市街地再開発事業は駅前商店街などの再整理に目的があるため、最寄り駅までは近く、交通利便性の良いものが大半だ。高層建物になるので見晴らしもよく、資産性は高いと考えられる。当然こうした要素が高く評価されているからこそよく売れているのである。