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建物全体のマネジメント力が問われる

 したがって複合開発で分譲されたマンションの価値はこれらの懸念事項をどれだけクリアにしているかにかかっているといってよい。ひとことでいえば、マンション管理だけでなく、商業施設やオフィスなどを含めた建物全体のマネジメント力が問われることになるのだ。

 このことは逆に考えると、同居する商業施設やオフィスなどが繁盛し、多くの人たちが出入りする建物になり、優れた運営管理によって常に最新の店舗や高感度なテナントを呼ぶことができる建物になれば、この建物に住む人たちのプライドは刺激され、建物全体の価値はおのずと上がってくることになる。

 複合型のマンションは、実は以前からたくさん存在している。市街地内や大型の団地などで1階、2階に店舗がありその上が住居になっているものがそれだ。不動産業界ではこうした形態のマンションを「下駄履きマンション」と称してきた。建物の低層部に下駄のように商業店舗が張り付いているさまを称してのものだ。

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写真はイメージ ©AFLO

商業施設やオフィスを見極める

 実はこれまで下駄履きマンションは中古マーケットではあまり高く評価されてきていない。理由はやはり低層部の店舗が廃れる、建物の管理や修繕を巡って意見が対立するなどで、建物全体の資産性が保たれないからだ。

 そうした意味では、複合開発の分譲マンション購入を検討する際には、マンションの資産価値を中長期にわたって維持、向上させるのに貢献する商業施設やオフィスであるかの見極めが重要となる。

 煌びやかなマンションモデルルームに目がくらみ、同居人である他用途施設の顔をよく見ておかないと、あとでとんだ思惑違いになる可能性があるのだ。そのためには街中にある「下駄履きマンション」のいくつかをよく観察すること。また市街地再開発事業による建物の場合、低層部などに店舗などを構える予定の地権者の従前の姿をよく調べておくことが肝要だ。

 全く異なる価値観の人たちとの同居はまさに同床異夢となる可能性が高いのだ。