2024年辰年がスタートする。干支のなかでも辰は竜、あるいは龍を指し、相場の世界でも縁起のよい年とされる。昇竜などと呼ばれるように天高く舞い上る竜は「上昇」を想起させる。さてそんな辰年の今年、不動産マーケットを占ってみよう。
2023年は超高層オフィスビルが続々と
2023年の不動産マーケットは、コロナ禍でいったん落ち込んでいた地価の回復が鮮明となり、東京都区部の新築マンション平均価格が1億円超え、1戸が2億ドルもするマンションを誰が買うのかが話題になった。都心部での再開発の動きも活発で、東京ミッドタウン八重洲に続き、虎ノ門ヒルズステーションタワー、麻布台ヒルズ森JPタワーなど超高層オフィスビルが続々とお目見えした。コロナ禍で一時は瀕死状態だったホテルマーケットも、インバウンド客がほぼコロナ前の2019年レベルに回復。自宅に引きこもって我慢を続けていた客が続々旅に出て主要ホテルの業績は軒並み回復。高級外資系の新規ホテルが多数オープンするなど明るい話題が目立った。
いっぽうで、建築費の高騰は新規開発案件の延期や中止を余儀なくされる事態が多発。マンション価格の上がりすぎは、諸物価高騰も相まって、いくら住宅ローン金利が低くても、新たな住宅購入に二の足を踏む世帯が目立つようになった。金利の動向からも目が離せず、「こんな状態がいつまでも続くわけがない」という漠とした将来不安が内在した状況にあるのが現在地といえそうだ。
ホテルマーケットはさらなる活況
さてこうした中で迎える新年辰年。まずは明るいセクターから取り上げる。
ホテルマーケットはさらなる活況が見込める。最近は東京、大阪、京都といった都市部だけでなく、地方都市やリゾート地でも多くの外国人観光客(インバウンド)の姿を見るようになった。それもそのはず、23年のインバウンド数は1月から11月までの累計で2233万人。このままのペースでいくと年間2500万人程度になりそうだ。これは2019年のほぼ8割水準に相当し、すでに10月単月では19年の数値を上回っている。日本人の国内旅行客も回復していて宿泊者延べ数で2023年1月から10月までの累計で3億9876万4000人泊とほぼ19年の同期間の数値(4億172万2000人泊)と肩を並べている。
この傾向は今年さらに強まることが予想される。数だけではない。ホテルの宿泊単価は上昇傾向を強めており、業界にとっては宿泊数が増えて稼働があがるだけでなく、単価も上昇するという勝ちパターンを享受している状態にある。今年のインバウンド数は19年の3188万人を上回る3500万人を上回る展開となりそうだ。