合鍵で部屋に入り、散らかった机の上を探していると、マウスが動いたためにパソコンのスリープが解除された。すると画面上に表示されたのは、金髪女性の尻に向かって腰を打ちつける白人男性。洋モノの無修正動画だった。
あわててブラウザのタブを切り替えるが、出てくるのはエロ画像・動画のサイトばかり。うんざりしてブラウザを閉じたが、ふと思いついて再び立ち上げ、履歴を調べたところ、エロサイトに混じって熟女デリヘル店とラブホテルのサイトがいくつか残っていた。
やっぱりデリヘルか――さすがに若い子の店ではないんだな、と思いつつ、探しものを続けると、カバンの中にいつも使っている財布を見つけた。つまり、財布をもたず、デリヘルの料金とホテル代だけを持っていったわけだ。シャワー中に財布から現金を抜かれるリスクなどを考えてのことだろうか。色ボケのわりに変なところで冷静である。
父親の部屋で見つけたもの
とにかく保険証と診察券、あと下着類を袋に入れて病院に持っていく。といっても看護師に預けるだけだが。その後、約2週間の入院の間は、姉がときどき様子を見に行ってくれたが、看護師から聞かされるところでは、四六時中下半身を触っていて、オムツ替えのときには性器を見せつけようとするらしい。暗澹たる気持ちになってしまった。
入院中、もうひとつやらねばならないことがあった。部屋の片付けである。もともと片付けが得意でない、というかはっきり言ってだらしがない人だったのだが、認知症の症状が出始めてからは、食べこぼしを放置するなど「ゴミ屋敷」化し、この3年間で2度、清掃業者を入れての大掃除を余儀なくされていた。
介護認定を受けてヘルパーが週に2回来るようになってからは、多少マシになっていたが、ケアマネジャーによると、お金がもったいないと言って勝手に週1回に減らしており、そのせいで再び散らかり出していたのである。