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《追悼・篠山紀信》「僕は翌日からバンバン裸を撮りました」宮沢りえのヌード撮影を成功させた“りえママ”の一言

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迫害されるヌード

 有働 ヌードを撮った女性のその後はやはり気になるものですか?

 篠山 どうでしょうね。りえちゃんも樋口さんも立派な大女優になりましたけど、自分の覚悟や意志をちゃんと持った人はやっぱりヌードを撮ったあとでもいい仕事をしている。

宮沢りえ氏 ©文藝春秋

 有働 ヌードって何なんでしょう。

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 篠山 それは撮られる人によってみんな違うんじゃないですかね。昨年12月に僕の最新の写真集『première(プルミエール)』が出版されたんです。これは結城モエ、高尾美有、松井りなという3人の新人女優の写真集です。彼女たちは元キャンパスクイーンで、卒業後も女優として活動していくなかで「今の自分を表現したい」という強い想いを持った。それでモデルの方から今の年齢でしかやれないことを是非やりたいと僕に言ってきたんですね。

 有働 (写真集を見て)きれい。

 篠山 そう、きれいなんですよ。写真集の最後に3人それぞれ自分が脱いだ理由が書いてあるんです。それが本当に面白いですよ、3人とも理由が違うんです。どう違うかは写真集買って読んでほしいけど(笑)。

 有働 女性にとってはヌードになるのはすごい決断ですよね。

 篠山 あの3人は「表現者として確固たる作品を作りたい」と自らヌードを撮ってほしいと言ってきた。僕としてはほとんど初めてのケースで、時代が変わったと思いましたよ。

 有働 時代、ですか。

 篠山 今はヌード表現というのは全般的に迫害されているんですよ。週刊誌ですら乳首もヘアもいけませんとなっている。それは広告主がヌードが入っている雑誌には出稿しないとか、お父さんが妻や娘のいる家に雑誌を持って帰れないとか、全体的にヌードが好きではない女性読者層が増えているとかいろんな理由があるんだろうけど、雑誌業界全体にも「やっぱりヌードはやめよう」という自粛傾向がある。でも、そんなムードの中であえて自分をアピールするための手段にヌードを選んだということですよ。