8人組のアイドルグループ「ブスっ子くらぶ」でデビュー
――それは「おバカ」という言葉のニュアンスに近い意味ですよね?
新川 そうそう。一種のシャレですよね。働いてる子はみんなちゃんと可愛かったですよ(笑)。運営会社も儲かっていたんでしょうね。さらに一山当ててやろうと、お店で働く女性をアイドルとして売り出すことにしたんです。各店舗で働く総勢6000人のキャストから選抜するという大がかりな仕掛けで、メディアにも結構取り上げられていました。でも、これ実は完全なるやらせオーディションだったの。
――ええっ!?
新川 店でオジサン相手に一生懸命接待してる現役女子学生は眼中になくて、モデル事務所に所属しているキレイな子がメンバーになることが最初から決まっていたんです。私はちゃんと店舗で働いていましたが、事前に合格することは分かっていた(笑)。半数以上はお店とはなんの関係もない子でしたね。
――8人組のアイドルグループ「ブスっ子くらぶ」は1985年のデビューです。
新川 無名なアイドルグループながら、テレビ、ラジオでレギュラー番組を持っていましたね。テレビは音楽番組で、今週のトップ10みたいなもので、曲の紹介などをしていました。芸能活動は楽しかったですよ。ディスコは顔パスでしたし(笑)。一方で、芸能界の汚い一面も見ました。「お前だけは売ってやる」とある社長さんに言い寄られたこともありましたね。
――楽しんでいらした芸能人生活は、2年ほどで幕を下ろされました。
新川 はい。恥ずかしながらできちゃった結婚をしてしまい、グループを脱退させられました。アイドルグループの一員ってだけで、ほかに芸があるわけでもないし、それで芸能界も引退。事務所には100万円の違約金を払いました。当時22歳。成人したといっても、まだまだ無知でした。ただ、芸能界に未練はありました。仕事が楽しかっただけに、引退直後はさみしい思いはかなりありましたね。