「はじめてのマッチングアプリは、オタ恋」──。そんなキャッチフレーズと共に投稿される画像では、ぽっちゃりオタク男性と美女のカップルが、ベッドの上で楽しげにジャンプしたり、繁華街でデートしたり……。

マッチングアプリ「オタ恋」のユニークな画像はどうやって生まれたのか?(画像提供:オタ恋)

 これは、オタク同士の恋愛を後押しするマッチングアプリ「オタ恋」の広告画像だ。生成AIによって生み出された、独特のテイストがX上で度々話題になり、広告そっくりの画像を再現する「#オタ恋チャレンジ」というハッシュタグも出現。「オタ恋」とは、いったい何なのか。運営事務局に話を聞いた。

AI生成画像で会員数が倍増

 2022年11月、「オタ恋」のサービスがスタート。運営によると「2022年ごろからオタク向けの婚活サービスが伸び始めているのを肌で感じており、次はオタク向け恋愛マッチングサービスが流行るんじゃないかと思った」とのこと。

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 2023年11月時点でダウンロード数は20万を超え、アニメ、マンガ、アイドルなどの趣味を持つ人たちが利用している。同年12月には、利用者から運営側に初めての結婚報告もあったといい、一定の利用効果もうかがえる。

利用者からの結婚報告も(画像提供:オタ恋)

 ただ、実はサービス開始当初は、会員数が伸び悩み苦境に立たされていた。「すぐにサービス終了するのでは」「利用する人いるの?」など、サービスに対してネガティブな反響が次々と寄せられ、運営側は「なぜマイナスな評価なのかわからず苦戦していた」と明かす。

 そんな中、救世主となったのが、先の生成AIを活用した広告だ。オタク男性とAI美女のカップル画像を投稿し始めたところ、X上でときには1万回以上のリポストがされるなど話題に。ついにはその構図をハロウィンやSNS上で真似する人も現れた。

(画像提供:オタ恋)

 知名度向上が影響したのか、入会数は男性は1.5~2倍程度、女性は、3~7倍程度に増加。通常マッチングアプリでは、女性会員が伸び悩みがちになるというが「女性会員の増加は意外だった」と運営側も驚いたそう。

 それにしても、なぜAI美女を広告に使ったのか。そこには業界独特の事情が存在する。