Nanasai 女性ホルモンについては少し悩みました。顔立ちや体型が女性らしくなれば、自分が理想とする美により近づけるのではないかと思ったからです。でも今のところは、自然な状態で女装をするのが1つのあるべき姿なのかなと思っています。
僕の場合は「男性らしい体型で可愛い格好をするギャップがいい」と褒めていただくことが多いんです。評価軸がそこにあることが、ホルモン投与をしていない大きな理由です。
――男性に女性ホルモンを投与すると、性機能障害のリスクがあることは気にしていないですか?
Nanasai もしそうなったら、「趣味を優先して楽しく生きた結果だから仕方がない」という気持ちになると思います。
元々趣味人間で、ゲームが大好きで学生時代は大会に出るくらいオタクとして生きてきました。今もゲームが好きだし、美容や女装を満喫しているので、その結果恋愛や結婚に影響が出るかどうかは全く気にしていません。
――美容整形に興味はありますか?
Nanasai 気になるところは沢山あるし、美を目指す手段の1つとして整形は悪いことだと思っていません。「費用を全額出しますよ」と言われたら五分五分でやるかもしれないです。ただ、「ナチュラルなまま女装している姿が好きです」と応援してくれる方のことを考えると少し躊躇しますね。
女装をめぐる世間の誤解
――女装をする人たちについて、世間から誤解されていると感じることはありますか?
Nanasai SNSなどを見ていると、神経質で思い詰めやすいと思われていると感じます。
ただ実際に、女装を始めると思い詰めてしまう方が多いんです。初めてやりたかった格好ができると、自分で自分を認められたことですごく嬉しくなります。そこから「他者にも認められたい」と写真をSNSにアップするのは自然な流れだと思います。
しかし、今はSNSで女装の写真をアップしている人は大勢いるし、マーケティングの仕方によっては全く「いいね」が付かないこともあります。すると「自分はダメなんだ」と落ち込んでしまう方が多いんです。「女性ホルモンを使えばもっと評価されるはず」と、勢いで打ってしまう人もいます。
そういう方に対して「女装する人は気難しいんだな」という見方をする人が多いです。「そんな人ばかりではないよ」と言いたいですが、そういう一面もあることは確かだと思っています。
――Nanasaiさんは、まわりから誤解されることはありますか?
Nanasai トランスジェンダーだと思われるのか「複雑なんだよね、大変だね」と同情されたり、「何も言わなくていいんだよ、私は分かっているから大丈夫」と慰められたりします。僕は楽しんでやっているだけなんですが(笑)。
そういった行き過ぎた配慮も、配慮がなさ過ぎることも無くなるのが本当にジェンダーレスな世界なのかもしれません。まだまだ先は長そうですが、女装に対するハードルを無くしていくためのお手伝いができれば身に余ることだと思っています。
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