総選挙で公認を狙う議員たち
韓国は4月に総選挙を迎え、これから党内の公認候補選びの佳境を迎える。苦戦が伝えられる与党「国民の力」の議員たちは、保守の金城湯池とされるTK(大邱・慶尚北道)やソウルの江南区からの出馬を希望している。
こうした選挙区の現職議員の1人は「誰も彼も、有利な選挙区での出馬を目論むから、大変だ」と悲鳴を上げる。そして、今、公認候補選びなど、党を差配する非常対策委員長は、尹大統領の検察時代の後輩、韓東勲(ハン・ドンフン)氏だ。政界関係筋の1人は「当選したい議員はみな、有利な選挙区での公認を狙って、韓氏と尹大統領のご機嫌をとりたいところだろう」と語る。
さらに、今回の「犬食禁止法」は超党派立法だった。ただでさえ、韓国の保守と進歩は犬猿の仲だ。総選挙前なら、更にそれがヒートアップしてもおかしくないのに、超党派での合意が成り立ったことから、政界雀たちは色めき立っている。
韓国の一般社会の反応は…
別の関係筋は「推測」の一つとして、金建希女史が輸入車ディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作事件に関与した疑惑を捜査するための特別検察官任命法案の影響を挙げる。同法案は昨年末に、野党「共に民主党」などの賛成多数で可決されたが、尹大統領が1月、再議要求権(拒否権)を行使した。同法案は国会に差し戻され、今度は国会議員の過半数が出席し、出席した議員の3分の2以上が賛成する必要がある。
「公認漏れした与党議員が造反して賛成する恐れもある一方、公認が欲しい与党議員らが野党議員に対し、特別検察官任命法案の再議決で手加減してくれるよう頼む代わりに犬食禁止法に賛成した可能性もある」と語る。
ことほど、韓国政界とメディアはかまびすしいが、一般社会は至って冷静だという。前出の60代の知人は「韓国の政界はローラーコースター(ジェットコースター)みたいなもの。(罰則が適用される)3年先がどうなっているかなど、誰も予想がつかないからだ」と語った。