「カネにものを言わせて選手を買い漁る手法はひと昔前の巨人のようです。巨大戦力を持て余している点もよく似ています。ただ巨人は生え抜きを大事にする球団で、ソフトバンクはそこが違います。長年、リリーフで貢献してきた森も簡単に切られましたし、甲斐野のようなドライチ(ドラフト1位入団)でも年俸がそこまで上がらない。チーム内には不満が燻っています」(同編成担当)
甲斐野は65試合に登板した1年目の19年に年俸が1500万円から5000万円にアップ。しかし、20年は右肘の故障で1軍登板がなく3800万円に減り、2023年は46試合で防御率2.53と好成績を残したものの、400万円増の4000万円にとどまっている。
オスナの年俸は甲斐野の25倍?
一方でソフトバンクフロントは、ロッテから引き抜いたオスナに6億5000万円という大枚をはたいた。さらにメジャーとの争奪戦の末、4年40億円規模のオファーで慰留している。1年当たりに換算すれば、田中将大投手(楽天)が21、22年に記録した9億円を超えるNPB史上最高額の10億円となる。
「オスナの契約に驚いたのは甲斐野だけではありません。争奪戦で条件がつり上がったとはいえ、これだけの格差を知れば、生え抜きの士気が上がるはずはありません」
こう語るのは、あるソフトバンクのチーム関係者だ。甲斐野の4000万円という待遇も「あまりに安い」と同情を隠さない。
「西武は平良海馬投手の先発転向に加えて増田達至投手も35歳になり、甲斐野がクローザーを任される可能性は十分にあります。リリーフに問題を抱える西武にとっては42歳の和田以上の戦力でしょう。しかしソフトバンクにとって和田は『チームの顔』。その和田が移籍に難色を示した時には王貞治会長も『大変なことになった』と言うほどで、追い込まれたフロントは甲斐野を差し出さざるを得なかったんです」