最速160キロとフォークボールを武器とする甲斐野に対し、西武の松井稼頭央監督は「終盤を任せられる投手という意味では三振の取れる投手なので、非常に大きな戦力になってくれると思う」と大きな期待を寄せる。
甲斐野自身も人的補償に付きまとう暗い影を感じさせず、むしろ西武に必要とされたことを意気に感じ「守護神を狙いたい」と既に気持ちは切り替えたようだ。
さらにまだ27歳の甲斐野にとって西武移籍にはもう1つ、利点がある。ポスティングシステムによるMLB挑戦だ。
12球団で唯一ポスティング移籍を容認していないので…
実はソフトバンクは、12球団で唯一ポスティング移籍を容認していない。今オフに三笠杉彦GMが容認への方針転換に含みを持たせたものの、いまだハードルは高いと言っていいだろう。
甲斐野は最短で27年オフに国内FA、29年に海外FAの権利を取得するが、それを待っていると33歳で渡米することになる。
しかしポスティング移籍に寛容な西武なら、30歳頃にはポスティングでのメジャー挑戦が認められる可能性はある。
米大手マネジメント会社の代理人は「甲斐野の速球とフォークはメジャーでも通用するとみられています。気になるのは故障歴がある肘で、トミー・ジョン手術を受けていないことが問題視されるかもしれませんが、西武でリリーフとして実績を積んでいけば松井裕樹投手(パドレス)クラスのオファーは狙えるでしょう」と指摘する。
昨季は近藤の人的補償として、ソフトバンクから日本ハムに移籍した同じドライチの田中正義投手がクローザーに定着するなど飛躍を遂げた。きっかけはともあれ、甲斐野の展望も大きく開けてくるかもしれない。