山川穂高内野手(32)のFA移籍に伴う人的補償で西武に移籍した、ソフトバンクの甲斐野央投手(27)。西武は当初は和田毅投手を指名しようとしたが、和田が現役引退の意思を示して移籍を拒否したため、急きょ甲斐野が選ばれたという。

 甲斐野は昨年リリーフの主力として活躍し、28人のプロテクト名簿に入っていたとみられている。その彼が“超法規的措置”で移籍を余儀なくされたことも漏れ伝わってきて、「ソフトバンクと和田のとばっちりではないか」という同情論が噴出した。

ソフトバンクから西武に移籍する甲斐野央 ©時事通信社

 しかし、あるパ・リーグ球団の編成担当は「今回の移籍は甲斐野にとって“渡りに船”と言えるラッキー」と語る。

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「甲斐野のトレードでの移籍を希望していた、という話も」

「甲斐野は以前から、ソフトバンクが外様の選手や外国人選手を厚遇して生え抜き選手を軽く扱いがちなことに疑問を持っていましたから。トレードでの移籍を希望していた、という話も出ています」

和田毅 ©時事通信社

 2023年シーズンのソフトバンク選手の推定年俸を見ると、6億5000万円のロベルト・オスナ投手がトップで、6億2000万円の柳田悠岐外野手、5億円の有原航平投手が続く。トップ10の中で生え抜き選手は柳田のほか、森唯斗投手(23年限りで戦力外、DeNA入り)、今宮健太内野手、甲斐拓也捕手の4人だけだ。

 ソフトバンクは2022年オフにオスナ、有原、近藤健介(推定年俸2億5500万円)らの獲得で「80億円補強」を敢行し、総年俸は12球団で断トツだ。特に近年は豊富な資金力に物を言わせたチーム強化を進めているが、3年連続で優勝を逃すなどコストパフォーマンスは極めて悪いと言わざるを得ない。