お金と手間をかけるほど、不便で乗りにくくなる改造車。それなのに、オーナーたちの表情はなぜか晴れやかだ。はたして一体、彼ら彼女らを突き動かすものは何なのか?
今回は「STANCENATION JAPAN TOKYO 2023」出展者のなかから、V36型スカイラインに乗る「吉田」さんをご紹介。
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長年の憧れ「スカイライン」を大胆チューニング
以前からこのV36型のスカイラインが大好きで、ここ6年でもう3台仕上げているんです。この車両は4年前から手をつけはじめ、イベント用に作っている感じですね。
このV36もそうですけど、エンジンがV型になって以降のスカイラインは、「こんなのスカイラインじゃない」なんて言われることも多かったじゃないですか。昔からそれが悔しくて、「自分が乗るときには悪い評価を覆してやる」って気持ちが強かったんですよね。
それで、この車両ではRB26DETT(R32型~R34型スカイラインGT-Rに搭載されたエンジン)をスワップしているんです。RB26は海外市場を含めプレミアものですから、エンジンだけで700万円くらいしましたよ。カスタム費は全部で2000万円は下らないでしょうね。
実は父が板金やカスタム関係のショップを経営していて、私も同じ工場で別部門のような形で働いているんですよね。なので、これはショップの看板車でもありますから、かなり気合いの入った仕様になっています。
父は若い頃にドリフトをやっていて、私が小さい頃からしょっちゅうサーキットに連れて行ってくれていました。生活のなかに改造車が当たり前にある環境で育ったので、自然と私もその道に進んでいたというか。とくに進路に迷うこともなく、車関係の専門学校に進んで、そのまま父のショップに就職した感じです。
今は32歳で、結婚もしていますが、妻はとくに車好きではないですね。付き合いはじめた頃には、「なんでそんな車にばっかお金かけるの?」なんて言われたこともありました。
それでも「お客さんに来てもらうには看板車の存在も大事なんだよ」と、一応の理解はしてもらっていますね。まぁ内心、呆れられているようにも思いますが……。
今は本当に、仕事と趣味を一緒に楽しめているような状態なので、まだしばらくは車に没頭していたい気持ちがありますね。この車でやり残した部分もありますし、トロフィーを取れていないイベントもあるので。やっぱりイベントに展示する以上は、目に見える結果を残したいんですよ。
そのうち自分のなかで「イベントはもういいか」と区切りがついたら、色々と今後のことを考えていきたいですね。