お金と手間をかけるほど、不便で乗りにくくなる改造車。それなのに、オーナーたちの表情はなぜか晴れやかだ。はたして一体、彼ら彼女らを突き動かすものは何なのか?
今回は「STANCENATION JAPAN TOKYO 2023」出展者のなかから、ロードスターに乗る「なな」さんをご紹介。
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オープンカーが開いた新たな世界
もともと車にはあまり興味がなくて、18歳の頃までは「免許は別にいらないかな」なんて考えていたんです。でも、就職の面で取っておいた方がいいと聞いて、一応学生のうちにAT限定を取ったんですね。
それからも社会人になるまでは、たまにお母さんの車を運転するくらいでしたね。でも、就職して自分の車を買うとき、車好きの兄からコペンを勧められて。ひと目見てデザインが気に入り、よくわからないまま購入を決めたんです。
そうしてコペンに乗っているうちに、だんだん運転が楽しくなってきて……そのうちロードスターにも興味が湧いて、それならマニュアルしかないだろうと、4年ほど前にAT限定を解除したんですよ。
その勢いのまま、ヤフオクで40万円くらいのロードスターを買ったんです。個人売買だったので不安はありましたけど、まぁ古い車だし、何を買っても同じかなって。
実際に維持してみて、壊れたのは幌とエアコンくらいですね。エアコンは3年くらい壊れたままで。少し前にようやく直せたんですよ。最近まで通勤もこの車だったので、夏はホントに地獄でしたね。
やっぱり周りの同年代には車好きが少ないですけど、SNSにはロードスター乗りの女子が結構いるので、フォローしあったり、実際にイベントで会ったりもしています。
車弄りの面でも、ちょくちょくSNSで知り合った人に手伝ってもらっていますね。とくに車好きの男性にとっては、こういう車に乗っている女性は珍しいようで、「やってあげようか?」と声をかけてくれることが多いんですよ。そこはちょっと、優しさにつけ込む、じゃないですけど、好意に甘えさせてもらっていますね。
最近は足用にミラココアを増車したので、買い物なんかも楽になりました。ロードスターは比較的維持費も安いですし、2台持ちでもそんなに負担は感じないですね。普通に事務の仕事をしていますが、無理なく生活できていますよ。
ただ私の場合、他にこれといった趣味がないのもあるかもしれません。車に乗るようになってから、かなり生活にハリが出てきたように思いますね。