お金と手間をかけるほど、不便で乗りにくくなる改造車。それなのに、オーナーたちの表情はなぜか晴れやかだ。はたして一体、彼ら彼女らを突き動かすものは何なのか?

 今回は「STANCENATION JAPAN TOKYO 2023」出展者のなかから、ハイエースに乗る「徹」さんをご紹介。

リフォーム系の会社を経営する徹さん

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ハイエースがつなぐ職人同士の関係性

 もともとはずっとスポーツ系の車が好きで、若い頃はセリカXXなんかに乗って、草レースに参加したりもしていました。ですがリフォーム関係の会社を興してからは、忙しくてなかなか乗る時間がなかったんですよね。それで自然と、現場車の方を弄るようになったんです。

ダークなトーンで硬派な印象に仕上げたハイエース

 ハイエースはこれで2台目ですけど、最近は従業員も増えて、私が直接現場に出ることも減ってきたので、車弄りが加速しちゃってますね。足まわりのセッティングを詰めたり、エアロをワンオフ加工したりしているうちに、気づいたら800万円くらいかかってました。

 やっぱり同業者にはハイエース乗りが多くて、自分みたいに現場車をカスタムしている人もかなりいる印象です。そういう人が集まる現場だと、休憩時間は「またバンパー壊しちゃったよ」とか「このエアロ擦らない?」みたいな話ばっかりですね。

シートやシフトノブ、インパネ周りなど内装も全体的にスポーティに仕上げている

 こういうイベントに来ても、ハイエース乗りにはやっぱり職人系が多いので、自然と話が合うんですよね。変な話ですけど、ハイエースはかなりコミュニケーションを促してくれる車なのかもしれません。

 ただ、現場系の仕事でも、若い世代は車に興味をなくしている感じがしますね。うちの若いのも自分から「エブリイがいいです」と言ってくるくらいで。私自身はこうやって、自分だけの車に乗れることがモチベーションにもなっているので、世代が違えば価値観も変わるんだなって。

仕事での実用性と、趣味性を兼ね備えた一台だ

 自分にとってはこれが自慢の相棒ですけど、唯一怖いのが盗難ですね。ハイエース乗りの知り合いだけでも、毎年1台とか2台はやられちゃってますよ。基本的に道具は詰みっぱなしですから、このまま持っていかれちゃうと商売あがったりなので、セキュリティにはコストをかけています。

若い頃には草レースへの参加経験も

 あとは現場に向かっている最中にお巡りさんに止められてしまうと仕事になりませんから、法令面はちゃんと意識して弄っていますよ。あくまで現場車っていうのがベースにあるので、今後も機能性を損なわないよう、楽しく現場に行けるような形で仕上げていきたいですね。