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独身OLにとって、なぜ池袋は「優しく住みやすい」のか?

SUUMO編集長 池本洋一さんインタビュー #2

note

「住みたい沿線ランキング」の覇者は?

―― 今年の「住みたい街ランキング」で面白かった番外編を教えてください!

池本 2018年の「住みたい街ランキング」では、どの沿線に住みたいか、回答してもらう「住みたい沿線ランキング」を初めて集計したんです。全体では山手線が1位なんですけど、年代別の特徴がはっきりと表れていて非常に興味深いです。

―― 山手線は、どの層に人気なんでしょうか?

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池本 若い人たちは山手線好きです。支持をした人の36.9%が20代でした。つまり1人暮らしするときは山手線沿いであっても、家賃が7万〜8万円で住める。でも家族を持つと、ファミリー向けの広さで山手線沿いの賃貸マンションは「ちょっとしんどい」。自然と郊外に目が行くようになりますよね。

©iStock.com

―― さらに上の世代に人気の沿線は?

池本 東急田園都市線が興味深かったですね。43.2%が40代でした。小田急線も41.6%が40代です。この2沿線は団塊世代に人気で好んで買われました。その子どもである40代の団塊ジュニア世代にとっては、育った街だから愛着があり、自分の子どもを育てる街としても安心感がある。この世代にとってはブランドイメージが良く、同質性の安心感があるのでしょう。でも20代は違う。「ブランド」より「実質的利便性」を重視し、「同質性」より「多様性」を求めている、そんな感じがします。

住みたい沿線ランキング SUUMO調べ

―― 若い人は何を重視しているんですか?

池本 20代にとっては、利便性が高く、家賃は安く、商業施設が充実していることの方が大事。

 ちょっと池袋の話にまた戻りますが、池袋駅は、山手線沿線の中でも象徴的な結果が出ています。20代女性に限定したランキングではなんと池袋が2位だったんです。僕からすれば意外な結果で、「おっ、20代女性は池袋なんだ」と驚きました。でも、それが今の感性なんだと思うんですよね。「別に渋谷じゃなくていいんだ」って。

 池袋駅前には美味しい飲食店も、ファッションアパレルのお店もたくさん揃っていますからね。SUUMOタウンに掲載した「独身OLだった私にも優しく住みやすい街『池袋』」という記事は、大きな反響を呼びました。

池袋駅東口のサンシャインシティ ©iStock.com