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独身OLにとって、なぜ池袋は「優しく住みやすい」のか?

SUUMO編集長 池本洋一さんインタビュー #2

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池袋駅北口だったら安心できる!?

―― あんまり池袋に「優しく住みやすい」イメージってないですよね。

池本 ライターの小沢あやさんによれば、化粧を落としてジャージとビーサンのような部屋着のままで行ける店も、ちゃんとおしゃれして行ける店も両方あるのが池袋の良さなんだそうです。

 小沢さんが暮らした池袋駅の北口には風俗街もあるし、外国人が多いエリアでした。でも結局、1人暮らしって寂しいものですよね。最寄りの駅を降りてコンビニが1軒しかなくて、その先はずっと真っ暗な住宅街を通って帰るよりは、夜でも人通りが絶えないルートの方が、落ち着けると。池袋駅北口だったら「一人なのはわたしだけではない、と安心することができた」そうなんですね。

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―― 実際に住んでみたら、思っていたより居心地がよかったんですね。

池本 特に1人暮らしだと、「孤独との闘い」というのが絶対あります。寂しい気持ちで駅まで帰ってきて、にぎやかな繁華街が、逆にとても安心できる場になっているんでしょうね。そういった意味でも、若い人たちが求めているのは自分の居場所があることと、コスパがいいことなんだと思います。

©:iStock.com

―― 20代の吉祥寺離れと根っこでつながっている感じがしますね。

池本 つまり、今の若い世代にとっては「身の丈に合わない無理した生活」をすることが何よりもかっこ悪いということなんだと思うんです。収入を考えて、実際に派手な生活ができないという現実的な理由ももちろんあるのですが。

30代は中目黒・二子玉川を支持。40代は子育てを視野に入れて

―― 30代は何か特徴がありますか?

池本 うーん、30代の特徴は難しいですね。というのも、色々なライフステージの人が混ざっているからなんです。個人的には、20代が求めるコスパよりも、ワンランク上のおしゃれさ、落ち着きを求めるのが30代かなという印象がありますね。30代女性だけでランキングを作ると、全体では11位の中目黒が4位、同じく16位の二子玉川が6位。このあたりが30代が好む街の象徴でしょうね。

 前回お話しした「3つの波」の第1トレンドである「おしゃれ」「洗練」というキーワードは、30代にはまだ響くものがあるのかもしれません。

 

―― そして、40代はどうなっていくんでしょう。

池本 40代になると、子育て層が増えてくるので、治安の面や学校のブランドを重視するようになりますよね。「自分たちと同じような属性の人が住んでいる街を選ぼう」という傾向が強くなる。東急田園都市線や小田急線の人気が高いのは、そういうところに起因しているのではないでしょうか。

――  独身の男性・女性のランキングでも、特色があるとか。

池本 そうなんです。面白いことに、それぞれのニーズがはっきりと現れています。どこに住めばシングルの相手と出会えるのか、ぜひ参考にしてください(笑)。

(#3に続きます)
写真=佐藤亘/文藝春秋
 

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