私は中高一貫の女子校に通っていたのですが、中1の時に軽音楽部でバンドを組み、高校からはメンバーと共に学外でもライブ活動をしていました。

 ですがなかなかうまくいかず、大学2年の頃、スタジオ練習の後メンバーに「バンドをやめよう」と切り出しました。ただその時、既にブッキングされたライブが控えており、解散話の気まずい空気に耐えきれなかった私はつい「一人でなんとかする」と言ってしまいました。

 必要に迫られて新しくオリジナル楽曲を4~5曲作り、音楽関係の知り合いの方々に協力を仰ぐ形で何とかライブを行いました。それからしばらく経った頃、いま思うと本当に突拍子もない話なのですが、そのライブ用に作った楽曲のイメージから物語を思いつき、映画にしたいと思いました。

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石橋夕帆

初監督作品のインスピレーション源は『PiCNiC』

 その時、インスピレーションのもとになった作品が岩井俊二監督の『PiCNiC』でした。中学生の頃でしょうか、テレビ番組で『PiCNiC』の映像が数秒だけ流れて、それまで邦画に抱いていたイメージからかけ離れたその映像に衝撃を受けました。大学3年になってから友人たちと自主制作で作ったその作品が自身の初監督作品となりました。

 それから13年が経ちますが、様々な出会いに恵まれたお陰でいまも映画を撮る事ができています。

©Ippo

“平気”でいる事を求められる場面があまりに多い

 2023年12月には長編2作目となる『朝がくるとむなしくなる』が公開されました。