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36歳にして東大生活18年目。8年で東大法学部全3コース制覇した「長期在学男」が語る「東大の流動化」「煩悶青年」「将来の夢」

36歳にして東大生活18年目。8年で東大法学部全3コース制覇した「長期在学男」が語る「東大の流動化」「煩悶青年」「将来の夢」

“東大18年生”高原智史さんインタビュー#2

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ニュース, 社会, ライフスタイル, 教育

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「ここまで来たら限界の21年目まで在籍を続けたい」

――ところで、卒業の見込みは?

高原 ここまで来たら博士論文は出したいなと。なので、あと2年いて20年か、ここまで来たら、限界の21年目まで在籍を続けたいななんて考えています。

――東大を志望する学生たちにメッセージはありますか

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高原 東大志望の学生にメッセージを送るということは、2006年に18歳だった当時の私に何を言えるか、ということですね。何が言えるかな……東大に入れたとして、私みたいに官僚なり、研究者の道が潰えていくかもしれなくても、それでも東京大学で学ぶことは実りあることです。

取材日は大学入学共通テストの前日だった

 いろんな志や考えを持って集まっている人たちの中で活動していくのは、先に繋がろうと繋がるまいと、やっぱり何か足しになるので、いいもんですよと言いたいと思います。

――繋がらなくても足しになるというのは?

高原 東大や一高は、元々官僚を養成するための教育機関です。それはつまり「ためになるかどうか」を日本一よく考えているところだということです。でも、周りがそういう環境だからこそ、逆に「ためにならない」ことについて最も考えやすい環境だとも言えます。

 私は元々、官僚になりたかったわけで、公に奉仕したいという気持ちは今もあります。結果的にこれだけ長く東大にいて、私の研究に国費が投入されていることには、もちろん責任を感じています。でも、官僚になるという夢は、先方から受け入れられなかったということなので、違う形で奉公したいなと思います。世の「東大生」のイメージとは違うかもしれませんが、私みたいなちゃらんぽらんな人間でも、生きていていいんだぞっていうことが社会に広まることで、苦しむ人が1人でも減ればいいなと思います。

撮影=鈴木七絵/文藝春秋

36歳にして東大生活18年目。8年で東大法学部全3コース制覇した「長期在学男」が語る「東大の流動化」「煩悶青年」「将来の夢」

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