それは新聞にしてはなんともミステリアスであり、不確定な記事だった。
《北朝鮮からの特別列車が26日、中国・北京に到着したとの情報があると複数の外交筋が明らかにした。中朝国境や北京市中心部で厳戒態勢がとられたことから、北朝鮮の要人が中国を訪問しているとみられる。》(朝日新聞 3月27日)
《北朝鮮の要人が26日に特別列車で到着したとみられる中国・北京では27日、要人が宿泊する釣魚台国賓館を中心に、前日に続いて厳戒態勢が敷かれた。》(読売新聞 3月27日夕刊)
北朝鮮がらみはいつも見えない
北の要人……。まるで吉永小百合の映画タイトルのようだが(※最新作は「北の桜守」)、これだけ情報網が発達しても正体が見えない。北朝鮮がらみはいつも見えない。
要人て誰? もしかすると……静かな緊迫感が行間を包む。すると、
「金正恩氏、電撃訪中」(産経新聞 3月28日)
「中朝首脳が会談 正恩氏、初の訪中」(読売新聞・同)
北の要人はやはり金正恩だった!
このニュースは「列車」が神秘的なムードをまず生んだと思うが、スポーツ報知によると電撃訪問は鉄道マニアの“スクープ”で明らかになったという。
《黄色のラインが入った見慣れない深緑色の列車を見掛けた中国の市民が、同国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で動画を公開。「2011年に金正日総書記が訪中した時の列車に酷似している」と話題となり、正恩氏訪中の情報が一気に拡散した。》(3月29日)
はぁ、どこの国のマニアも凄いぞ! そしてSNSでの拡散力も万国共通!