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「日朝首脳会談」というジレンマ

 金正恩からすればこっちは親父と同じく列車でわざわざ行って誠意を見せたのに、向こうは握手かよ、親父と同じくハグしてくれよ熱いハグを! と言いたい気分だったかもしれない。

「列車」といい「握手」といい、読者にも外交がわかりやすい小さな記事であった。

 さて、北朝鮮が活発な外交を見せるほど「蚊帳の外」という言葉が報じられる日本。今はどういう状況なのだろう? 日経新聞はこう分析した。

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「日朝会談のジレンマ 森友で苦境、『得点』期待 拉致問題のリスク読めず」(3月30日)

©getty

《国際情勢に加えて、安倍政権にとって強いインセンティブとなっているのが国内向けの「得点」への期待だ。

 森友学園問題が響き、内閣支持率は急落中だ。(略)首相は4月の日米首脳会談や5月の訪ロなど得意の外交で得点を稼ぎたい考え。》

《ただ、日朝首脳会談は従来の対北朝鮮方針を急転回するだけに「禁断の果実」の側面もある。

北朝鮮は森友から流れを変える「味方」になっている

 最大のリスクはやはり拉致問題だ。仮に、北朝鮮が拉致問題の否定や打ち切りなど被害者家族や世論が反発する態度に出れば、安倍政権の責任が問われ、いっそう窮地に追い込まれかねない。》

《安倍政権は期待と警戒の間で揺れ動いている。》

 ここで出てきた「森友」という言葉。国内がこういう状態なら外交で得点を稼ぎたいというのが本当なら、北朝鮮はますます厄介な相手にみえる。

©文藝春秋

 その一方で、櫻井よしこ氏が「国際情勢が激変する中で、日本の政治家、政党はいつまで森友問題なのか」と産経新聞のコラムに書いたように(4月2日)、首相を支持する人からすると北朝鮮は森友から流れを変える「味方」になっている。皮肉にも。

 安倍首相、日朝会談をやるなら、そして主導権を握ろうとするなら、金正恩と会ったらいきなり「ハグ」したらどうでしょう? 絶対に感激するはずです。