大スクープが出たあとは大騒ぎになる。情報が咲き乱れる。

「森友14文書改ざん」(毎日新聞 3月13日)

「財務省公文書改ざん」(朝日新聞 3月13日)

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「森友書き換え 理財局指示」(産経新聞 3月13日)

「文書書き換えさせられた 森友問題『自殺』職員メモ」(読売新聞夕刊 3月13日)

3月13日朝刊各紙1面より

 そもそも「書き換え」なのか「改ざん」なのか、表現も異なる。

 事の発端は、3月2日(金)の朝日新聞「森友文書 書き換えの疑い」というスクープだ。そのあと新しい情報が次々と。毎日新聞は3月8日の夕刊で「別文書に『本件の特殊性』」と報じた。疑惑の言葉を別文書で見つけたというもの。

 翌日の朝日新聞は「森友文書 項目ごと消える」(3月9日)とスクープ第2弾。まるで「相手」の出方を見ながらじわじわとカードを切っているかのよう。

はじまりは3月2日、朝日新聞朝刊だった

かつて安倍首相が言った通り「読売を熟読」する意味

 ともすればこの情報の多さに読み切れない人も出てくるだろう。そんなときどうすればよいのか。今回で言えば安倍首相がかつて言った通り「読売を熟読」することだ。

 つまりスクープを放った新聞のライバル紙を読めば事態がつかみやすい。そこにはライバル紙であっても書かざるを得ない「必要最小限の情報」しか書いていないからだ。

©文藝春秋

 では、ここ最近の読売新聞を熟読してみよう。「安倍政権」というスタジアムでは一塁側(ホームチームを応援)に読売、産経がいて、三塁側(ホームチームと距離を置く)には朝日、毎日、東京新聞がいる。まず、この構図を頭に入れておこう。

 朝日のスクープ翌日、読売は、

「森友文書報道で調査 理財局長6日までに国会報告」(3月3日)

 を政治面の真ん中にお上品に載せた。

朝日スクープ翌日、読売新聞3月3日朝刊 政治面真ん中に「森友文書報道で調査」の記事

テンション低めだが、新聞として伝えなければならないこと

 読んでみると、

・朝日新聞の報道を受け、財務省は事実関係を調べる考えを示した

・6日までに国会に報告する

・麻生財務相は「改ざんが真実であるとするなら、極めてゆゆしき事態だ」と語った

 地味な記事ゆえ、コンパクトにまとめられていてわかりやすいのである。

 政権にとってマイナスな事実が出た場合「一塁側」の新聞のテンションは低め。でも新聞だから無視はできない。なので「これだけは伝えなくてはいけない」ことしか書かない。繰り返すが結果的にこれがシンプルで読みやすいのである。