金正恩は、なんでわざわざ列車に乗ったのか?
ではなぜわざわざ列車で行ったのか? 移動に丸1日かけている。そんな面倒な移動手段をどうして?
その疑問にこたえたのがこちら。
「『列車外交』正日氏と同じ」(読売新聞 3月29日)
飛行機嫌いでもない正恩氏が、時間がかかる特別列車で訪中した意図について、読売は韓国紙・東亜日報の分析を載せた。
《特別列車を愛用した父、金正日総書記にならうことで「中朝の血盟関係が変わっていないことを『列車外交』を通じて示そうとした」》
なるほど、今まで中国とは必ずしもうまくいってないと報道されていた金正恩氏だが、いざとなったら「思い出の列車」で行くことで忠誠をあらわしたのだろうか。年上のおじさんを喜ばせそうな、なかなかのテクニックではないか。
こうして会談は実現し、互いに満面の笑み。各紙の1面からはここ数年のギクシャクはなかったかのような様子。
ハグしなかったことに注目した毎日新聞
しかしこういうときは「小ネタ」に限る。何気なく載っている小さな記事のほうに「背景」がみえてきそうなものがあるのだ。私が注目したのは毎日新聞の記事である。
「抱擁 時代遅れ? 習氏、欧米式『握手』で歓迎」(3月29日)
習近平総書記(国家主席)は金正恩朝鮮労働党委員長を「握手」で迎えたのだが、社会主義国の伝統なら本来は熱い抱擁だというのだ。
過去の「ハグ」歴は以下。
《2011年5月に金委員長の父、金正日総書記(故人)が訪中した際、胡錦濤総書記(当時)が金総書記の左、右、左と頬を寄せて抱擁。金総書記が計7回、その父、金日成主席は40回以上訪中した際も、中国の指導者とは外交儀礼上の抱擁をしていた。》
しかし今回金正恩氏と対面した時は「握手」であった。この意味として、
・中国側が「中朝はもはや特殊な関係でない」ことを演出したとの見方も出ている。
・北京の外交関係者は「米国と肩を並べる大国リーダーとして旧ソ連式の抱擁は時代遅れと思っているのではないか」と習氏の胸中を推測する。
と毎日新聞は伝えた。