何を考えているか話してくれない子どもに、どう声かけすればいいか。児童精神科看護師のこど看さんは「子どもが黙っているときは、言いたいことがあっても言えずにいる場合が多い。『話さないとわからないよ?』と急かすのではなく、言葉を待つことが重要だ」という――。(第1回/全3回)
※本稿は、こど看『児童精神科の看護師が伝える 子どもの傷つきやすいこころの守りかた』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
大人は子どもの言葉を待つことができない
子どもと大人の気持ちはよくすれ違います。子どもが何も語らずに黙っているとき、大人は「話さないとわからないよ?」と語りかけがちです。しかしそのとき、子どもは「話せないんだよ。わからないの?」と感じているかもしれません。
なぜこのようなすれ違いが起きるのでしょうか? その原因のひとつとして、私たち大人が「子どもの言葉を待てない」ことがあると思うのです。大人は、自分の気持ちを言葉で伝えて、その言葉を受け取ってもらったという経験を積み重ねているので、「言葉で伝えることの大切さ」を理解しています。
しかし、子どもは言葉でやり取りする経験を積んでいる真っ最中なので、言葉にする前に「これ言ったら怒られるかな」「迷惑かけちゃうかもしれないな」と考え、自分の言葉が変に伝わってしまわないか怖くなり、「言いたいのに言えない」状況が発生します。
それに加え、自分の気持ちを適切に表現する言葉を知らなかったり、大人から言葉を求められるプレッシャーに圧倒されているなど、子どもながらに言えない理由や背景があります。それを理解し、私たち大人には、子どもの言葉を待つ姿勢が求められるのではないかと思うのです。
「言えるけど言わない」のではなく「言いたいけど言えない」
大人は「言えるけど言わない」ができます。しかし、子どもは「言いたいけど言えない」のです。もし、子どもから言葉が返ってこなかったら、「話さないとわからないよ?」と子どもの言葉をせかすのではなく、「話せないの、つらいよね」と共感しながら子どもの言葉を待ってみましょう。