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「こんな生活、馬鹿らしい」パトカーを見ただけで心臓バクバク…“元・特殊詐欺グループメンバーの男”が組織からの脱退を覚悟した日

『闇バイトで人生詰んだ。』より #2

2024/02/11

genre : ライフ, 社会

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「警察のものですが、最近引っ越しされてきましたか? 巡回連絡カードの記入をお願いしたいのですが」

写真はイメージ ©getty

 当時の私は巡回連絡カードなんて聞いたことがなかった。持ち前のとっさの判断ですぐに警察官にこう告げた。

「実はここの部屋の住人が今出かけていて、自分は友人なんです。なのでよくわからないので、また後日来てもらえますか。一応警察の方が来たことは伝えるので」

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 警察官は「わかりました。お願いしますね」と私に言いおいて帰ったが、私の心臓は飛び出るくらいバクバクで過呼吸を起こしそうだった。

「もう一度、夢だった役者を目指そう」

 毎日、毎日警察に捕まるのではないかと考えるようになった。気も休まることもなく、お金ももらえない。馬鹿らしい。私は約2年半から3年続けた詐欺を辞め、もう一度自分の夢だった役者、芸能界を目指そうと決め、幹部の反対を押切り詐欺グループを脱退した。

「こんな生活、馬鹿らしい」パトカーを見ただけで心臓バクバク…“元・特殊詐欺グループメンバーの男”が組織からの脱退を覚悟した日

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