子どもの頃ならともかく、大人になってからの兄弟姉妹のケンカは始末に負えないもの。よく知る存在だからこそ、一度こじれてしまうとなかなか関係修復が難しい。そんな「大人のきょうだいゲンカ」の苦い体験談を聞いてみた。
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姉妹で子育てを助け合うため、妹の家の近所へ引っ越し
かつては仲が良かったきょうだいでも、年を重ねると些細な出来事が大ゲンカの引き金になってしまうことも。
45歳の主婦・佐藤桐子さん(仮名)と、3歳年下の妹の間に亀裂が入ってしまったのは、お互いの「子育て」がきっかけだったという。
佐藤さんは結婚して東京都23区内で暮らし、妹は関東圏の郊外で暮らしていた。
「10年ほど前のことです。私の近所は保育園不足で、当時2歳だったうちの子も待機児童になってしまったんです。そんなときに妹から『それならうちの近所に引っ越して来なよ。お互い助け合えるし便利でしょ』と誘われて。妹夫婦にはうちの子より1歳上の子どもがいて、よく子育ての話をしていたんです。私はもともと都心より自然の多い郊外で子育てをしたいと考えていて、ちょうど夫の仕事の都合もついたので、いいタイミングだと思って妹の家の近所に引っ越したんです」
それから6~7年程は特に問題なく、子育ての大変な時期を姉妹で助け合って送ることができたという。
「無事保育園に入ることもできましたし、そこからは子どもが成長する間、妹とはいい関係でいられて、頻繁に家族ぐるみで食事や旅行をしたり、忙しい時はお互いの子どもを預かったり、代わりにお迎えに行ったりもしましたよ」
お互い子どもの成長に伴って職場にも復帰し、困ったときに支え合える存在がいることには随分と助けられたという。ところがある時期を境に妹の態度が変わり始めてしまった。
子どもの受験を控えた妹に異変が
「うちの子は幼稚園や小学校もずっと妹の子どもと同じで、塾も同じところに通わせていたんです。妹も『いいところだから同じ塾に行かせなよ』と勧めてくれたし、実際に経験したからこそ分かるリアルな情報も教えてくれるのでいろいろ助かっていました。ところが次第に妹の様子に少し違和感を覚えるようになってきたんです。
妹は子どもを中学受験させる予定でかなりスパルタな教育方針でしたが、うちは公立に行かせるつもりだったので教育についての話が合わなくなってきたんです。
子ども同士の成績を比べたがったり、私に向かって『中学受験させない親はバカだ』と嫌味っぽく言うようになって、少し距離を置くようにしたんです。子どもの受験を控えた焦りもあるのだろうと思っていましたし、縁を切るほどではなかったんですが……」