2022年8月、東京五輪をめぐる受託収賄事件で逮捕された大会組織委員会の元理事、高橋治之被告(79)。高橋氏が受け取った賄賂は約2億円とされる。
その高橋氏が今回、「週刊文春」の取材に応じた。事件が明るみに出てから公式にメディアの取材を受けるのは初めてのことだ。取材は4日間、計7時間にわたった。
「森さんが勝手なことを言っているだけ」
昨年12月に始まった高橋氏の裁判で最大の争点となっているのは「職務権限の有無」だ。高橋氏の組織委理事(みなし公務員)としての職務に「スポンサー集め」が含まれなければ、受託収賄罪は成立しない。検察側は高橋氏に「マーケティング担当理事」としての職務権限があったと主張。その根拠の1つが、組織委員会元会長の森喜朗氏(86)の供述調書だ。この中で森氏は「高橋氏にスポンサー集めなどマーケティングを担当してもらった」と語っているのだ。