文春オンライン

「どう見ても日本のほうが強い」「すべての面で遅れている」アジアカップベスト4でも、韓国で“監督批判”と“日本コンプレックス”が吹き荒れる根深い理由

2024/02/10
note

「ランキング23位(韓国)と87位(ヨルダン)。なんでこんな負け方をするんだ…」

「監督はただのカカシ。なんの戦略もない」

「選手は走り、監督はへらへら笑い、協会はただ傍観」

ADVERTISEMENT

 試合後のネットの応援掲示板にはため息、怒り、やるせなさが入り交じる書き込みが続々とあがった。

「カカシ」とまで罵倒されている韓国のユルゲン・クリンスマン監督 ©Getty Images

 2月6日に韓国はAFCアジアカップカタール大会の決勝進出をかけてヨルダン戦にのぞんだが、結果は0-2の完敗に終わった。ベスト4まではサウジアラビア戦、オーストラリア戦ともに延長戦に持ち込んでの劇的な逆転勝ちを重ね、BBCはこれを「コリアンゾンビ」と報じたが、ヨルダン戦ではミスが続いた。

 ヨルダン代表のランキングが低いこともあり、韓国国内では勝算は十分とみられていた。それだけに、シュート数で8対17と劣勢になり、枠内シュートがまさかの0本というあっけない敗退に衝撃が広がっている。

 アジアカップで韓国が最後に優勝したのは1960年のこと。ワールドカップでは2002年にベスト4に進出したが、相性の悪いアジアカップでの優勝は「64年ぶりの悲願」だった。全国紙の運動部記者は、大会前にこんなことを言っていた。

「今回はソン・フンミン(トッテナム)をはじめ、ファン・ヒチャン(ウルバーハンプトン)、イ・ガンイン(パリサンジェルマン)、キム・ミンジェ(バイエルンミュンヘン)などのヨーロッパ組が加わって、韓国史上最強のチーム。総合力ではライバルの日本の方が数段強いことは認めますが、今回は韓国も希望が見えます」

ソン・フンミンが世界有数のストライカーであることに疑いの余地はないが… ©Getty Images

「日本を相手に優勝カップを掲げれば最高の雪辱戦になる」

 この楽観的な見立ては彼だけのものではなく、韓国メディアはいずれも「日本との決勝戦」にフォーカスを当てていた。そのキーマンはイングランド・トッテナムで活躍中のソン・フンミン選手らの海外組だ。

 スポーツ京郷は、一面トップにソン・フンミン選手の写真を大きく掲載し、「優勝咆哮 孫(ソン)と共に」(2024年1月12日)という見出しをつけた。

 そして「韓国が1位でリーグを突破すれば、決勝戦で韓日戦になる可能性もある。両チームとも最高の戦力でぶつかる韓日戦は2011年の札幌遠征(3-0で日本の勝利)以来となる。64年分の思いをかけた今回の決勝戦で、日本を相手に優勝カップを掲げれば最高の雪辱戦になる」と書いた。

関連記事