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「セクシー田中さん」にはなく、実写化成功作品にはあった“当然の要素” 「正直なところ、脚本の段階では面白いと思えなかったんだけど…」

「セクシー田中さん」にはなく、実写化成功作品にはあった“当然の要素” 「正直なところ、脚本の段階では面白いと思えなかったんだけど…」

2024/02/15
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 何より大きいのは、原作者の安田さんがドラマの出来にとても満足していることだ。2023年2月にweb site「Souffle」に掲載された対談の中で、こう語っている。

「だいたいまかせましたね。違和感があるかもと思ったところだけ相談する形で。最終的には、脚本を読んでも映像になったらどうなるか、僕らにはイメージできないよね。『ショムニ』のドラマの時、それがわかったんです。正直なところ、脚本の段階では面白いと思えなかったんだけど、どういう演技がつくか、どんな絵になるかで自分が想像し得なかったものになるから。(中略)脚本家の人の中に、自分の作ったキャラクターが生きてるってことですよね。『この人はこう言う』ってわかってくれてる。幸せなことですよね。(中略)気持ちを動かされたのは企画制作の方の『どうしても自分たちの手で作りたい』という熱意でした。僕の話もすごくよく聞いてくれたので『こういう人たちならまかせられる』と思えたんです」

「ショムニ」の原作マンガ

 ポイントは「脚本の段階では面白いと思えなかった」という部分だろう。それでも制作サイドと何度も話し合いを重ね、熱意を感じて信頼して映像化をまかせ、原作者の想像を超えるものができたことになる。これは原作者とドラマ・スタッフが理想的な関係を築けたことを象徴している。

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周囲の期待値が低かったことが逆に…

 原作からさらに発展させたユニークなキャラクター、OLでありながら巫女能力(占い)も有する日向リエ(原作では日向知世)役を演じた高橋由美子も、2015年に映画情報web site「クランクイン!!」のインタビューで、こう当時を振り返った。

高橋由美子(ビクターエンターテインメントHPより)

「(当時のフジテレビの)新ドラマの中では期待されることなく放送が開始されたものの、人気と評価はうなぎのぼり。誰も期待しなかったことが、スタッフ・キャストを逆に奮い立たせたのでしょう。主演の江角マキコさんをはじめキャストのみなさんとは、毎年“ショムニ会”を開催しています。(2015年当時)“所在不明者”として話題になった、宝生舞さんも参加しており、本人は至って元気です。今も連絡を取っていますし、食事にも行っています」

 人気コミックのドラマ化ながら、周囲の期待値が低かったことが逆に出演者とスタッフたちの結束をより固めさせ、それがよい結果に繋がったことをうかがわせる。

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