1月29日に栃木県日光市の川治ダムで亡くなっているのが見つかった人気漫画家の芦原妃名子(本名・松本律子)さん(享年50)の友人男性が「週刊文春」の取材に応じ、生前の芦原さんが自身の作品が映像化されることについての悩みを打ち明けていたことを明かした。
芦原さんは1994年に『その話おことわりします』(小学館)でデビューし、以来、ヒット作を世に出し続けてきた。2017年から「姉系プチコミック」(小学館)で連載を開始したのが『セクシー田中さん』だ。性格も年齢も違う2人のOLが出会い、新たな一面を見出していく——繊細な心理描写で現代に生きづらさを感じる女性たちを描いた作品は多くの共感を得た。
「必ず漫画に忠実に」反故にされたドラマ化の条件
同作は2023年10月に日本テレビ系列でドラマ化。しかし、最終回放映後の12月24日に“制作トラブル”が発覚する。エンドロールに〈脚本・相沢友子(第1話~第8話)、芦原妃名子(第9話、最終話)〉と映し出され、その後、脚本家の相沢氏が自身のインスタグラムにこう投稿したのだ。
〈今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした〉〈どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように〉(12月28日)
一方の芦原さんは自身のXで脚本をめぐるトラブルの経緯を説明。ドラマ化にあたっては「必ず漫画に忠実に」などの条件を提示していたが、それらは反故にされ、最終的に第9話と第10話は芦原さんが脚本を執筆し、日本テレビと専門家で内容を整えるという解決策となった。一連の投稿はその後、削除された。そして芦原さんは1月28日に〈攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい〉とポストし、翌日、変わり果てた姿で発見されたのだった。
現在、芦原さんの死をきっかけに原作者と制作者の関係性をあらためて見直す声が広まっている。