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この映画に出演して学んだこと

 これまでにも軍人を演じてきたギレンホールは、長年の間に知識を培い、軍隊関係の知り合いもできた。だからこそ、この物語にはたしかなリアリティがあると確信できたという。

「俳優はみんな同じことを言うと思うけれど、この仕事のすばらしいところのひとつに、普段の生活では絶対に会う機会のない、興味深い人たち、優れた人たちに会わせてもらえることがある。僕自身には軍隊経験がないし、家族や親戚にも軍人はいない。かつて僕は、軍隊についてはほとんど何も知らなかった。だが、20代後半で『ジャーヘッド』(05年)に出て、すごく多くを学ばせてもらうことになったんだ。あの映画をきっかけに、僕の軍隊に対する考え方は、大きく変わったよ。その後も軍隊経験のあるキャラクターを演じてきたが、その過程で知り合った中に、現役の軍人だった頃、通訳に命を救ってもらったという人がいる。今、彼はニューヨークの緊急事態対策チームで働いているけど、『今の自分があるのはその人のおかげだ』と僕に言った。彼がその人の家族を助けてあげたこともあったというから、この物語にすごくつながるよね。しかも、この映画は、それを美化することなく語ろうとするのさ。ヒーローになろうなんて思っていなくても、やりたくてやったんじゃなくても、人は良いことをしたりするものなんだ。状況が、人間のいいところを引っ張り出してくれることがあるんだよ。誰の中にも、それがあるんだ。僕は、そこに感動する」(ギレンホール)

一度は家族の元に戻ったキンリーだが、アーメッドが自分を救ったばかりに家族もろともタリバンに追われていることを知り、彼を救うべく自らアフガニスタンに戻ることを決意する ©2022 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

「それに、この映画に出てくるみたいに極端な状況である必要はないんだよ。ジョンとアーメッドのような大きなことをやってみせなくても良いんだ。近所の人のお手伝いをするとか、心配事のある友達に電話をしてあげるとか、小さなことで良い。毎日何かひとつ、誰かのために、ちょっとしたことをやってみるようにしよう。僕は、この映画からそれを学んだ」(サリム)

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 そこには、ギレンホールも大いに同感だ。しかし、彼はまた、もっと大きなことについても、人々に知ってもらいたいと思っている。