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「病気と向き合う」とはどういうことか
――作品のラストは少し衝撃的でした。何度も入院を繰り返してしまう患者もいる中で、当事者や周囲の人たちは、病気や治療とどのように向き合っていけばよいのでしょうか。
もつお 私が入院したのは1度でしたが、退院してからも病気との闘いは続きました。一生、病気が治らないんじゃないかと絶望したこともあります。私の場合は「完全に治そう、病気になる前の自分に戻ろう」と思うと、逆にうまくいかない日が続くことが多かったです。
「以前の自分には戻れなくてもいいから、少しずついまの自分が楽になる方法を見つけよう」と考えるようになってからは、症状が良くなっていった気がします。
病気と向き合う、付き合っていくということはいまの自分を受け入れることなのかなと私は思っています。
――今回の作品を、どんな人に手に取ってほしいですか。「こう読まれてほしい」「こう読んでほしい」というメッセージがあればぜひお願いします。
もつお 精神科病棟という場所を舞台にしているので、少し重い印象を抱く方もいるかもしれないですが、病棟での入院生活を通して1人の女子高生の日々や成長を描いた作品なので、気軽に読んでいただければとても嬉しいです。
私はずっと周囲の人に自分の病気のことを隠していたこともあって、入院したことも自分のなかだけに閉まっていた思い出の一つでした。
だけど、自分にとって病棟での日々は大事な経験だったので、こうして作品を通して読者の方にその日々に触れていただけると思うととても嬉しいし、幸せです。