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「打ち合わせの際に編集者の方から仮のラインナップを見せてもらったんです。その時点ですでに素晴らしく、結果的にそのほとんどが叶って、本当に様々な方にご参加いただき、今回は、付き合いの長い方も寄稿してくださっていて。ある意味では、自分を過去からずっと知っている人からの言葉は少し怖い部分もありますね」

鈴木七絵/文藝春秋

 特に特集の見どころとなっているのは、アーティスト・adieuとしても活動する上白石萌歌さんとの対談だろう。柴田さんは、「上白石さんとはこれまで数回お会いしていますが、毎回お会いする度に親しみやすさを感じています。上白石さんは非常に誠実で、物事に対して真摯に向き合う姿勢が伝わってくるんです。私は彼女に曲をお渡しする側としてお仕事で携わらせていただいていますが、(上白石は)音楽のことが本当に大好きなんだと思います」と語り、上白石さんへの敬意を表した。

 さらにユリイカ2024年3月号には、柴田さんの書き下ろしのエッセイも掲載された。

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 エッセイの執筆について、「今回のユリイカのエッセイでは、編集者の方から、私のキャリアにおける“きっかけとなった瞬間”について書いてほしいとのリクエストがありました。実際に振り返ってみると、音楽を始めた当初は何も考えずに流れに任せていた部分が多かったのですが、今となっては音楽は、私にとって非常に大切なものになっています。その変化を振り返りながら、大学4年生の時のエピソードなどを綴りました。今思うと、あの時期に経験したことがなければ今の自分はいなかったと感じています」と、柴田さんは自身の音楽キャリアにおける変遷を振り返る。

 柴田さんにとって、ユリイカの特集は、他人の視線を借りて自分自身を見つめる貴重な機会でもあるのかもしれない。発売に向けて「他人が私について書いてくれるというのは、不思議な感覚ですよね。私もまだ、簡単な事実確認で送ってもらったゲラの分しか内容を読めていないので、読むのが楽しみです」と心境を語った。

 また柴田さんは、ユリイカ2024年3月臨時増刊号への寄稿も行っている。詩人・谷川俊太郎に焦点を当てた特集だ。

「谷川俊太郎さんは本当に尊敬していますが、歳を重ねるにつれて、彼の作品を素直に読めなくなったという複雑な気持ちがあります。それを書くことに少し迷いましたが、谷川さんの懐の深さを信じて、胸を借りるつもりで書かせてもらいました」と、大詩人への敬愛とともに、作品への複雑な感情を語った柴田さん。

 こちらもあわせて読むと、「柴田聡子」という人物の多面性がより鮮明に理解できるかもしれない。