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一世風靡セピアのマネージャー状態だった

――劇男一世風靡での雑用とは、具体的にどんなことを。

中野 ツアーマネージャーですね。劇男一世風靡から歌をやりたいメンバーを集めたのが、一世風靡セピアになるんです。セピアはレコードデビューが決まっていて、ツアーの日程も組まれていたんですよ。他の業務に関するスタッフは足りてたけど、そのツアーのスタッフがいなかったんですね。ツアーに同行して、メンバーの身の回りの世話やアテンドをするツアーマネージャーが必要だったと。で、僕は一世風靡セピアの最初のツアーから最後のツアーまでずっと付いてるんです。

 

――ツアーがないときは、なにを。

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中野 セピアのなかでギバさん(柳葉敏郎)は『欽ドン!良い子悪い子普通の子おまけの子』(フジテレビ・1983~1985年)のレギュラーがあったので、ギバさんの付き人をやれって。『欽ドン!』、セピアのツアー、それと取材のスケジュールなんかも僕が担当して。移動も僕の運転で、ギバさん以外のメンバーの送迎もやってましたし、ほとんどセピアのマネージャー状態でしたね。

ギバさんと初対面でケンカしたら面白がられ、付き人に

――哀川さんの付き人になれとは言われなかったんですね。

中野 ギバさんと初めて会った日、彼とケンカになって。僕はスーツを着て行ったんですけど、そのスーツがまるでヤクザだったんですよ。それがギバさんは気に入らなかったみたいで、「お前さ、俺たちに付いてくるのにその格好はないだろ」と。「俺、これしか持ってないから」と答えたら、「おいコラ、持ってねえからって言い草はなんだ? 俺に言ってんのか」「そうだよ。お前に言ってんだよ。変えろって言うなら、お前が金出すんだろうな?」みたいになって、つかみ合いですよ。

 みんなにワーッと止められながら「なんで、いきなり初対面の奴にそんなこと言われなきゃいけねえんだ」「やるか?」って。まだ、その頃の僕の頭の中はただの不良ですからね。言われたら言い返すことしか考えられないんですよ。

 

――それなのに付き人に?

中野 次の日も、ギバさんが偉そうになんか言ってきたらぶっ飛ばしてやろうと思ったんですよ。そうしたら満面の笑顔で「おはよう!」って挨拶されて。予期せぬ展開に戸惑いつつも、僕も「え? あ、おはようございます……」と挨拶して。あの人、ものすごくカラッとしてるから、ちっとも気にしないんですよ。

 ただ、当時のギバさんはセピアのなかでもかなりの厄介者で(笑)。回りも手を焼いてたというか、太刀打ちできないというかね。そんななか、初めて会ったのにケンカしちゃった僕が面白がられて「やらせてみよう」となったらしいです。