「あまりに痛々しかったので、たくさんの生徒が心配して集まり、『どうしたんですか』と声を掛けていました。有愛さんは涙を堪えて『自分でアイロンをすると言ったのに奪われて、押し当てられた』と。火傷を負わせた天彩さんは、痛がっている有愛さんを部屋に残して退室したそう。彼女はナースが常駐している劇場内の診療所へ塗り薬をもらいに行っていました。数日後、患部は黒ずみ、かさぶたになっていました」
新人公演の準備に追われる中、複数の上級生から苛烈な叱責を…
次に、仮に過失であったとしても、これまで天彩と劇団側から一切謝罪がなかった点だ。川人弁護士は会見でこう指摘していた。
「他人が被災者に対しヘアアイロンを使った特殊性を考慮していない。(天彩が)確定的故意に基づいて行ったものでなくとも、未必の故意があったと評価するのが法的には相当である。俳優が顔に怪我を負うのは、仕事に影響を与える大変な問題です」
そして最後に、死の直前の9月下旬、有愛が新人公演の準備に追われる中、複数の上級生から苛烈な叱責をされていたことについてだ。小誌では10月19日号「『タカラジェンヌ(25)自殺の真相』宝塚歌劇団は壮絶イジメを8カ月放置した《内部告発続々》」と題した記事で、トップスターの芹香斗亜や松風輝組長ら上級生が「あんたが下級生をまとめないでどうするんだ!」「マインドが足りない」「この嘘つき野郎」と、有愛を執拗に怒鳴っていたことを、複数の現役宙組生の証言に基づき報じた。
劇団が多数の供述を黙殺
だが、歌劇団の報告書では、上級生の指導について「人格や人間性を否定する内容が含まれるものではない」とし、「社会通念上、許容される範囲だった」と結論づけた。川人弁護士によれば、ここでも、有愛のLINEが調査で引用されていないという。
「被災者は『嘘つき』と人格否定されたことを、LINEで述べている。劇団は彼女が訴えたことを全て否認しています」(同前)