宝塚歌劇団・宙組に所属する劇団員(享年25)が苛烈ないじめやハラスメントの末、自死した事件。2月23日、劇団側がパワハラがあったとする意見書の一部を認め、その見解を遺族に伝えたことが報じられた。一方で意見書には見解が異なる部分もあるとして、今後も遺族との協議を続けていくという。
11月の会見ではパワハラを“全面否定”していた宝塚。一体、何があったのか。「週刊文春」がこれまでに報じてきた記事を再公開する(初出:2023年10月12日号/年齢・肩書きは当時のまま)。
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9月30日午前7時ごろ、兵庫県宝塚市のマンションに住む25歳の宝塚歌劇団の劇団員・有愛きい(25)が、敷地内で死亡しているのが見つかった事件。地元警察によると、現場の状況などから自殺とみられている。
〈精神的に崩壊している……〉
実は有愛は、亡くなる前日の9月29日、母親にあてて上記のようなメッセージを送っていたことが「週刊文春」の取材でわかった。将来を嘱望されていたタカラジェンヌを死に追いつめたのは何だったのか――
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前日は普段と変わらず舞台に立っていた
地元紙社会部記者が明かす。
「9月30日午前7時過ぎ、マンションの住民が敷地内の駐車場に女性がうつ伏せで倒れているのを発見し、110番通報。女性は花壇の植え込みに倒れていた。着衣に乱れや事件性をうかがわせる傷がなかったため、自殺と見られています。駆けつけた捜査員が1マンションを調べたところ、通路に彼女の所持品と思われる手提げ鞄を発見し、身元が判明した」
亡くなったのは宝塚歌劇団の宙組に所属するタカラジェンヌ、有愛きい。
彼女は1998年、京都市で140年以上続く由緒ある漬物屋に長女として生まれた。2015年、宝塚音楽学校に入学。演劇評論家が言葉を続ける。
「有愛は17年3月、103期生として歌劇団に入団。彼女の双子の妹は1期上の102期生として入団した、雪組の男役・一禾あおです。姉妹仲は良く、普段からお互い悩み事を相談していました。最近はお父さんが所有するマンションに2人で暮らしていた」
有愛が所属する宙組の公演「PAGAD」が初日を迎えたのは、死の前日である9月29日。その日、有愛は普段と変わらず舞台に立ち、帰宅したという。だが――。