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「なぜ所得税と住民税の減税を今年の6月にしたかというと、(春の)賃上げで勤労統計が出るのが6月の頭なんですよ。そのタイミングで減税をぶちこめば、物価を上回る所得増になる可能性が高い。平成の三十数年のデフレを止める歴史的な成果を出すんだと」

 であれば、岸田総理は6月に衆議院解散を考えているのでないか。細野氏は「9月(の自民党総裁選)はまったく見通せない状況なので、いろいろな選択肢を持っているのかも知れない」と語った。ただ賃上げだけで、自民党に追い風が吹くとは思えないとの考えを示した。

「選挙は高齢者の影響がものすごく大きいんですが、賃上げしてもすぐに年金はあがらない。むしろ物価が上がると、年金生活者は生活が厳しくなってくるんです。そうすると『賃上げ出来ました、これが成果です』って言っても、高齢者は冷ややかに見る可能性がある」

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細野氏 ©文藝春秋

「総理を替えてきて、自民党はろくなことにならなかった」

 自民党内には、次の総選挙は岸田総理ではなく新たな総理大臣の下で行うべきだという声も強まりつつある。その点に話が及ぶと、前回の総選挙を無所属で勝ち上がってきた細野氏らしい、強気な姿勢を見せた。

「(岸田総理が)経済に賭けていることを考えれば、4月の賃上げ、夏ごろの経済状況を見ないと政権の評価は定まらないと思います。結構いい数字が出てくる可能性があるので、まだポスト岸田を語るのは早いと思います。あと、選挙は(政党の顔である総裁がやるのではなく、個々の政治家が)自分でやるんです。そこは甘えちゃいかん。支持率が落ちたからって総理替えてきて、自民党はろくなことにならなかったわけだから」

 こうした状況の中で細野氏は、かつて所属していた野党をどう見ているのだろうか。

「2015年(の安全保障関連法を巡る野党共闘)くらいから状況は変わっていなくて、小選挙区で勝つためには自民党(支持)でない人を全部束ねなければいけないという発想に立っている。歯を食いしばって共産党及びそれに類する左派の人たちはご遠慮願って、残りの8割のうちの半分を取りに行くという勝負をするなら野党にも目がある。でも『(左派の)2割も取らないと過半数は取れない』という議論をまだしている。

 もうあれから9年経っている。2015年の安全保障の状況は、今からみるとまだ平和だったんです。野党には優秀な人も多いし、魅力的な人もいると思うけど、今の状況で野党が塊として政権運営できるかというと、正直厳しいと思います」

 細野氏はベテラン議員と言っていい当選8回を数えるが、まだ52歳。自民党議員として今後どのような活躍の場があるのか。政治とカネを巡り永田町の混迷が深まる今、細野氏の真価が問われることになるだろう。

 細野氏が出演した、文藝春秋ウェビナー「青山和弘の永田町未来café」は、「文藝春秋 電子版」で見ることができる。