1990年代、チャイドルブームの中心として人気を博し、その後は女優、さらにバラエティー番組でも活躍した吉野紗香さん(41)。

 現在は1児の母となった彼女に「ハングリー精神の塊だった」と語る当時について振り返ってもらった。故・篠山紀信氏、是枝裕和監督という大御所を前に繰り広げた生意気っぷりとは?(全3回の1回目/続きを読む

 吉野紗香さん ©橋本篤/文藝春秋

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親に内緒で芸能事務所に応募

ーー吉野さんはもともとどういう経緯で芸能界に入ったのですか。

吉野紗香さん(以下、吉野) 幼稚園の頃に「ひらけ!ポンキッキ」を毎朝見ていて、どうやったら出られるんだろう。楽しそうだなとずっと思っていたんです。

 小学4年生頃に芸能事務所に入ればテレビに出られると知って、その頃に新聞の広告に「次はあなたがスターだ」と書いてある応募を見つけました。親にダメって言われたくなかったので、自分のお小遣いで履歴書を買って内緒で応募して。合格して次は事務所で面接となったときに初めて親に応募したことを話しました。

 面接に行くと周りは子役を既にやっている子ばかりで。面接官に「代表作は何ですか?」と質問されて、他の子はこれまで出演した作品を挙げるんですが、私は「小学校の演劇で村人13をやりました」って(笑)。緊張もあったんですけど、そういう世界に入れるきっかけの場にいられるのがすごく嬉しかったのを覚えてます。

 無事に合格して、事務所には「休みもいらないし、学校も早退できます。とにかくオーディション、お仕事を入れてください」って自分から伝えました。

篠山紀信氏との出会い

ーー小学生でその覚悟はすごい。

吉野 他の子よりも芸能界入りが遅かったのでとにかく急いでました。看板やチラシのお仕事を入れてもらって、あとはとにかくオーディションをいっぱい受けて。篠山紀信さんともこの仕事を始めたばかりの頃にアサヒカメラのお仕事でご一緒しました。

©橋本篤/文藝春秋

ーー篠山さんの印象は最初どうでしたか。

吉野 最初は篠山さんが何者かも知らなくって。

 モデルを始めて1~2年たった頃に雑誌「パンジャ」の撮影で篠山さんのスタジオに行ったんです。周りは篠山さんの撮影だと保護者も含めてざわざわとなっている時に、私は反抗期が来ていたので「篠山って誰よ」とか言って(笑)。そうしたら篠山さんが「私よ」ってひょこっと出てきたんです。