2017年、神奈川県の東名高速で、石橋和歩被告(32)の車が萩山友香さん(当時39)運転のワゴン車の前に繰り返し割り込み、友香さんと夫の嘉久さん(同45)を死亡させ、娘2人にけがを負わせた事件。2月26日に行われた二度目の控訴審で、東京高裁は被告側の控訴を退け懲役18年を言い渡した。判決を聞いた石橋被告は退廷時、裁判官に向かって「俺が出るまで待っておけよ」と言い放ったという。
なぜ家族の幸せは一瞬にして奪われてしまったのか。事件を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」 2018年12月20日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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弁護側は無罪を主張
有罪か、無罪か――。「あおり運転」によって夫婦を死亡させた石橋和歩被告の公判が2018年12月3日から始まり、検察側と弁護側の熾烈な法廷バトルが展開されている。
石橋は2017年6月5日、神奈川県の東名高速で萩山友香さん(当時39)運転のワゴン車の前に繰り返し割り込んで停車させ、大型トラックが追突する事故を誘発。友香さんと夫の嘉久さん(同45)を死亡させ、娘2人にけがを負わせた。
「初公判に臨んだ石橋は短髪に眼鏡をかけ、上下黒のジャージ姿。認否の場面では被害者の夫につかみかかった際の細部にやたらとこだわり、『胸ぐらではなく、左腕……』などとつぶやくように述べていた。弁護側は『車が停止後の事故に、危険運転致死傷罪は適用できない』と無罪を主張しました」(司法記者)
だが、検察側は「危険運転」を立証するため、状況証拠を詳細に集めて突きつけた。