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土地も建設費も爆上がり

 都心部で新築マンションを供給するにはどうしても仕入れる土地の価格は高くなる。大規模オフィスビルの開発やインバウンド需要の高まりを背景としたホテル需要と戦いながら仕入れる土地代は高く、これにあいまって昨今は建設費が爆上がりしている。建設物価調査会によれば、2015年を100とする建築費指数は、RC造(鉄筋コンクリート造)で2023年は126.4に急伸している。

 仕入れる土地が都心部で、地価も2014年以降の大規模な金融緩和によって値上がりを続ける中で、高騰した建設費で建物を建設すれば、売り出し価格は当然高くなる。結果として新築マンションは到底一般国民の手の届かない存在になっているのだ。

出典:建設物価調査会

 こんな状況下でも、新築マンションの初月契約率は好調とされる70.3%(2023年)。つまりこんなに高いマンションでも売り出し初月で70%が契約できるのだ。いったい誰が買っているのだろうか。

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 当然、買い手は一般国民ではない。多くが国内外の富裕層、投資家、相続が心配になった節税需要、そして東京都区部などに多く暮らすパワーカップル(夫婦合算年収で1500万円以上の世帯)だ。

都心マンションを物色するパワーカップル

 野村総合研究所の調査によれば、純金融資産(不動産などを除く金融資産から負債を控除した額)で1億円以上を保有する富裕層は全国で148万世帯に及び、その数は年々急速に増加している。こうした人たちが資産の分散や投資を理由に都心マンションを物色している。またアジアを中心とした投資家が円安を武器に日本の不動産を買い漁っている。また年間で144万件(2021年)ほどの相続が発生するうち、9.3%に相続税が課せられている。世界的にも高い相続から少しでも逃れたい人たちが対策の一つとしてマンションを買っている。

写真はイメージ ©AFLO

 パワーカップルはどうだろうか。ニッセイ基礎研究所の調べでは2022年でその数は37万世帯。全世帯の0.66%、共働き世帯に限っても2.25%の希少種ではあるものの彼らは果敢に新築マンションを買おうと頑張っている。