パワーカップルを全力で応援しているのが低金利だ。住宅ローンは短期プライムレートに連動する変動金利で約2.5%、超長期の固定金利で約2.9%程度だ。仮に金利2%として期間35年とし、年間返済額を年収の25%を上限としてシミュレーションすると、年収1500万円の世帯で借入可能額はなんと9433万円になる。多くの金融機関は様々な特典を付けて金利優遇措置を用意していて、金利が0%台前半になるものまである。これに住宅ローン控除などの優遇策を使えば、1億円以上の調達は容易にできる。
新築マーケット、中古マーケットの二分化へ
現在の新築マンションマーケットはこうした構造の上で成り立っており、一般国民ははなから相手にされていないことがわかる。こうなると一般国民はどうしたらよいのか。中古マーケットに向かわざるを得ない。実際に中古マンションマーケットは活況で、2023年の首都圏での成約戸数は3万5987戸と新築マンション供給戸数2万6886戸を上回っている。マンションストック自体はすでに700万戸あり、中古マーケットは成長しているので、何も無理しなくても中古マンションを買えばよい環境になっている。最近はリフォーム技術がすすみ、新築と見紛うかのような物件も多いし、購入後に自分で好きなようにリフォームする顧客も増えている。
実は新築マンションのマーケット規模は2014年の2兆2272億円に対して2023年は2兆1780億円と横ばいであるのにたいして中古マンションは、2014年の9216億円から2023年には1兆6464億円と1.8倍もの成長を遂げているのである。
マンションマーケットは今後も、一部の金持ちと、金持ちになろうとチャレンジしている層だけを相手にした新築マーケットと、これからの多死・大量相続時代にあふれ出てくる中古物件を吟味して買う中古マーケットの二分化がますます鮮明になることだろう。
ただし、新築でも中古でも、これからの金利動向やリモートワークを組み合わせた居住地の二極化、多極化、ライフスタイルの変化などがこれからの30年で確実に起こってくることをよく考えながらマンションを選ぶことである。自分の家は何も流行や投機で買うほどのものではないのだから。