手術室看護師、通称「オペ看」として働いていた経歴を持つ、漫画家の人間まおさん。彼女が自身の体験をもとに、手術室の知られざる裏側を描いたコミックエッセイ『手術室の中で働いています。オペ室看護師が見た生死の現場』(竹書房)を上梓した。
限られた人だけが立ち入ることのできる手術室では、どんなことが起きているのだろうか。そもそも「オペ看」とは、どのような仕事なのだろう。人間まおさんに話を聞いた。(全4回の1回目/2回目に続く)
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看護師になってわかった「先輩看護師が怖い」理由
――『手術室の中で働いています。オペ室看護師が見た生死の現場』では、人間まおさんが看護師だった頃のエピソードが綴られています。現在は漫画家として活動されていますが、以前は看護師をされていたのですね。
人間まおさん(以下、まお) はい。小さい頃から漫画家に憧れていたのですが、不安定なイメージの強い仕事だからと親に反対されて。
高校卒業後の進路に悩んでいたときに、仲が良かった友人が看護師を目指していると知って、「看護師って良いイメージがあるし、いいかも!」と思い、看護学校に進学しました。
――当時は、看護師にどんなイメージを持っていたのですか。
まお 清潔感があって優しい、まさに「白衣の天使」のイメージですかね。資格職で仕事に困ることもないから、親も安心してくれそうだなって。ただ、実際の現場は想像と違うことも多く、最初は戸惑いました。
――医療ドラマやマンガでは、「先輩看護師が怖い」というエピソードをよく見かけます。
まお そう、特に看護学生時代の病院実習は辛かったですね。例えば、患者さんの状態を先輩に報告するとき、「どうしてそう判断したの?」「あなたはそれを聞いてどう思ったの?」とめちゃくちゃ突っ込まれるんですよ。
測った血圧や体温の数値、患者さんから聞いた話を伝えているだけなのに、なんでこんなに畳み掛けて聞いてくるのか。新人の頃は、先輩から何を言われるんだろうとビクビクしていました。でも、働いているうちに先輩の気持ちが理解できるようになってきて。