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「かなり難しい印象です」「計画性のない人なのでは?」転職エージェントが明かした“履歴書の空白期間”に対する本音

『仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略』より #2

2024/03/09
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空白の理由は「ポジティブ」であることが前提

 次に、そもそも採用したことがあるのかも聞いてみました。

Q: 空白期間がある人が採用になったことはありますか?

A(G):決定実績はあります。ただ、クライアントの担当者や企業文化により紹介先は選びます。外資やベンチャーなどの実績重視の社風であればそこまで気にされませんが、日本のトラディショナルな企業だとかなり難しい印象です。また、空白理由も「ポジティブ」であることが前提です。あとはヘルスケア分野だと「看護師」など圧倒的に市場ニーズが高い職種については、空白期間も理由も問われず採用されています。

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 決定実績はあるようですが、ジャンルや社風については偏りがあるようです。ただ、ここでも「選択肢が狭まった」と考えるのではなく「合う会社が絞られた」と前向きに考えていくべきなのかもしれません。

個人としてはキャリアブレイクに共感も

 最後に、同じように、このキャリアブレイクという文化についてどう思うかも聞いてみました。

Q: キャリアブレイクという文化について、どう思いますか?

A(G):とてもいい言葉だと思いました。「ブランク」「離職中」「無職」等、仕事をしていない期間をこのようなネガティブな言葉でしか捉えられないことに違和感を覚えます。何もしていなくても休息や旅から学ぶこともあるのに、キャリアブレイクをしたことがない人が圧倒的に多い社会では「仕事をしていない=何もしていない」と受け取られます。当たり前にみんながブレイクするようになれば変わると思います。

 今までの数値目標的な話とは、大きく異なる所感をいただきました。そして、今までの回答をよく見ていくと、人事の方はあくまで仲間探しである一方で、転職エージェントの方は採用決定数を目標にしていることから、よりキャリアの空白に対してシビアだった印象でした。

 ただ、シビアになっていた理由は、転職エージェントの方一人ひとりの意向ではなく、会社の利益構造や、社会構造からくるものだったように感じます。その証拠に、転職エージェントの方からも、個人としては、現状への違和感やキャリアブレイクへの共感をいただいています。

 改めて、キャリアブレイクやキャリアの余白について、風当たりが強いのは、個人の感性や考えもあるかもしれませんが、社会構造によって生み出されているということが見えてきました。

 とは言いつつ、現状の私たちは、その社会構造の中で生きています。転職エージェントに相談すると、「キャリアの空白は人生を不利にする」「空白をつくるとしても1ヵ月以内で」「次を決めてから辞めた方がいい」など、あなたのためを思って、というスタンスで話を聞いてくれたり提案をくれたりすると思います。

 ただ、これも社会構造からくるアドバイスで、向こうはビジネスであり自分の数値目標があるということを認識した上で聞いた方が、冷静に判断できるのではないでしょうか。転職エージェントの意見ももちろん参考にはなりますが、自分の意見とのバランスを取っていくことが重要だと感じます。