転職において「空白期間があってもスキルアップに充てていたら問題ない」「『空白があるから』という理由だけでは落とさない」という考え方が育まれつつある。一方で、空白期間がどのように見られているのかと不安に感じる求職者は少なくない。
ここでは、一般社団法人キャリアブレイク研究所の北野貴大氏による『仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略』(KADOKAWA)の一部を抜粋。書類選考過程で採用関係者は空白期間をどのように見ているのか。実情を紹介する。(全2回の2回目/1回目を読む)
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履歴書の空白期間はどうみられるか
2社の転職エージェントの経験者(G:外資系大手転職エージェント、J:日系大手転職エージェント)にご協力をいただきました。
Q: 求人応募者の履歴書に空白期間があったとき、どのように感じますか?
A(G):空白期間を職種、業界、専門性などの要素とトータルしてみたときに、企業から懸念されそうな場合は「推薦が難しい」と感じることはあります。エージェントは成功報酬のため、担当者も(採用が)決定するまでは売上になりません。どうしても空白期間などの懸念事項がない、採用可能性が高い候補者を優先する傾向はあります。
A(J):「(キャリアに空白があると転職に不利になるという前提のため)計画性のない人なのでは?」「ワーホリ? 留学? 本来は仕事が好きではないタイプの人なのでは? 放浪癖のある人なのでは?」等の印象を勝手に持たれてしまうことや、「空白のない、きれいな履歴書の方が社内で稟議(りんぎ)を通しやすい」といった理由で、書類選考フェーズで見送りとなる傾向があります。
特に中堅~大手の人気企業で、採用強者である会社にとっては、1日に何十人~何百人という大量の履歴書を見なければいけないので、ネガティブな要素があったり、懸念があったりする履歴書は最初にはじいてしまい、その上で残りの履歴書を比較検討するというやり方をされている会社が多かった印象です。ベンチャーやスタートアップはそれでも妥協しないと採用できないことを理解されているところも多く(すごく違和感がありましたが、当時のエージェント・会社ともに「妥協」という言葉をつかっていました……)、応募数も少ないので、一人ひとりの候補者に向き合う時間をとろうとしてくれた人事の方も多くいました。
先の人事担当者の方よりシビアな回答が返ってきたように感じます。「成功報酬」「稟議を通しやすい」「採用強者という立場」などの理由から、効率性を求め、ふるいにかけられる傾向がありました。ベンチャーや小さい規模の会社ですら「妥協」という感覚での採用だったようです。
ただ、そんな数字に囲まれた人たちでさえ、「すごく違和感がありましたが……」と前置きされています。一見、採用側や人事も数字に追いかけられているように感じますが、違和感の中で働いている人もいます。キャリアブレイクを取るような、人生に転機やメリハリを求める人たちからすると、効率性だけを求めるような会社ではなく、こういった違和感を持った人事の方や転職エージェントの方に巡り合うことが大切なのかもしれません。事実、私はそういった人たちに採用されていくキャリアブレイク経験者を何人も見てきました。