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財部 そんなことは全くありません。5教科のうち1つか2つでも、その子の中で「成績がマシな教科」を見つけてあげてください。その教科だけでも、学校の授業についていこうとすることが大切です。すると高校受験をする頃には希望が見えてきます。

 15歳位になると、自分の人生について自分自身で考えられる年齢になります。そこが中学受験と高校受験の大きな違いです。不思議と、本人が行きたいと思える高校が見つかるものです。それは親がイメージするレベルの高校とは違うかもしれません。

 でも、入った高校で上位の成績が取れるよう頑張ることができれば、今はどんな高校からでも大学に入れます。超一流企業には就職できなくても、ちゃんと活躍できる社会人になれると思います。

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――例えば、小4の時点で足し算や引き算が苦手だったりしても将来大丈夫ですか?

財部 うちの塾に、中学生で足し算、引き算、掛け算、割り算が正確にできない男の子がいました。講師から「この子どうしたらいいんですか?」と相談を受ける程でした。

 その子は偏差値の低い普通科の高校に進学し、高校では「看護師になりたい」という夢を見つけて、運動部を頑張りながら塾に通い続けてくれました。大学受験では数学も英語もできないので、小論文だけで入れる私立大学を受けました。

 試しに小論文を書かせてみると、何とか意味の分かる文章が書けていたからです。何回か練習をして、無事に合格しました。看護師の国家試験には数学や英語がないので、暗記を頑張れば合格することができます。勉強ができないからといって、その子が将来やりたいことができないとは言えないと思います。

幼児期からの「英語教育」は有利? 不利?

――最近は英語の早期教育に力を入れる家庭が増えていますが、どう見ていますか?

財部 オブラートに包まずに言うと、そこでも地頭の影響があると思います。中2くらいで地頭の良い子に追い抜かれていくことが多いです。幼稚園の頃から外国人の講師に英語教育を受けていた子を複数知っていますが、中学生になった今の英語力はまわりと変わりません。

 また、別の子はお母さんが「0歳の時から家では英語しか話していない」と言っていました。英語は完璧でしたが、日本の学校教育の中では国語と社会が壊滅的に苦手になってしまいました。そういう弊害が出るケースもあります。

 中学に上がる前に、少し早めに英語の勉強を始めておくことは1つの対策にはなると思います。しかし、幼い頃からの英語の先取りはあまり意味がないことが多いです。まずは日本語の文章の読み書きを習得することが大切だと思います。